“Ghost Tropic”
Tropicとは一体何を意味するのか。
ブリュッセルの夜の街を歩く現代のロードムービー。移民系の女性の強さと、その日常の中に潜む“非日常”による、小さな冒険の物語。
アルケマン監督とヴィム監督の中間のような映画だな、と思った。つまり凄く素晴らしいということ。
まず、完成度が物凄く高い。オンとオフの対象性がエッセンスとなって、表現として洗練されている。
次に、映像の余韻がとても良い。ありきたりな光景の意味を探してしまう時間に、とてもワクワクさせられる。
印象的だったのが映像と音楽に趣き。詩的とはまさにこのこと。
ヴィム監督の「PERFECT DAYS」が俳句なら、これは詩にあたると思う。(タランティーノは週刊誌かな笑)
電車を乗り過ごしてしまった女性が、真夜中に家に歩いて返る、というシンプルなストーリーなのに面白い。
出会いと発見。ロードムービーの冒険性によってブリュッセルの文化をコミカルに見せてくれている。上手い。
移民系の母とそこで生まれた娘の関係性も、社会の縮図を表しているんだろうな。
でもこれは、退屈という人もいておかしくない。
退屈と芸術は紙一重。