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ファースト・カウのMrSeepのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
4.3
“The bird a nest, the spider a web, man friendship.”
鳥には巣を、蜘蛛には網を、人には友情を。
ウィリアム・ブレイクは人に必要なのは友情だと言う。

曖昧さと不完全が心地良い。
何かが起こりそうだ、というざわざわ感があるんだけど、何も起こっているような気がする。
見えない不気味さが、何て巧みなんだろう。

固定ショットで撮られた描写が作り出す、“誰かの目線”(動物かもしれない)による没入感はとても深い。この映画の格別さは中々言葉に出来ないと想う。
ケリー・ライカートは、「撮っているモノ」を映してるのではなく「見ているモノ」を映す監督なんだな。
そりゃ凄いわ。

西部開拓時代のオレゴンが舞台の二人の男がドーナツでお金を稼ぐサクセスストーリー。(サクセスなのかは、正直微妙なところ)
心地良い音楽、美しい風景、男の友情と絆、そしてドーナツの甘美。あらゆるプロットが素晴らしい。
カントリーな感じで、西部劇の良い要素を上手く取りいているし、動物の撮り方とか細かいデザインが見ていて楽しい。笑
A24だからこそのデザインセットって感じで凄く良かった。
音楽はウィリアム・テイラー(william tyler)という結構若めのギターリストらしい。あとに残る良い音楽だね。

最後も含めて全体的に、不明確さと余白が意味ある余韻を与えてくれる。そして持つべきものは友であり、友達を大事にしよう、ということ。
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