夜のブリュッセルを移民女性が1人で歩く。
と、聞くと不安要素しかない。ヨーロッパは昼でも軽犯罪が多いと言うし、夜出歩く緊張感はかなりわかる。でも、そんな時でも正義感を持ってみよう、好奇心に任せてみよう、とちょっとした冒険をする。
すると、冬の冷たさと引き換えに昼には見えない光の美しさと街の静けさを感じることができる。なくなる寸前のショッピングセンター、閉店間際のガソリンスタンド、夜の病院ではちょっとしたエピソードが、そして最後には一番身近な家族の違う側面に出会える。
ハイライトは娘を見かけるところ。一緒にいた男が束の間離れると、彼女はスマホの内カメラで髪を整える。その仕草だけで感情を伝える演出にしびれる。
移動シーンの心地よい光のコントラストはとても素晴らしい。序盤の地下鉄の暖色系ラグジュアリー感はあまり知らないブリュッセルの雰囲気をちょっとだけ教えてくれる。