あんびー

ノスタルジア 4K修復版のあんびーのレビュー・感想・評価

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)
5.0
「1+1=1」
この作品には現実と理想、過去と未来、闇と光、それぞれ相反するものが時間軸も理由も無しに、同時にスクリーンに映し出される。
また主人公のアンドレイを始め、性別問わず登場する人物は全て社会の中で何かの役割を持っていたり、家族だったり、記憶の中で幼子であったり、はたまた狂人であったりする。

「ノスタルジア」はバラバラになった世界、そしてもう戻ることのできない故郷の記憶への郷愁。アンドレイはドメニコと共鳴して蝋燭の火を守り通し、光を通して霧と水の共鳴の中で世界を救おうとする。中世ヨーロッパの芸術とソ連が融合したようなこの作品を奇跡と言わずに何を奇跡というのか。

映像と言葉にじっくりと浸り、いつかこの作品が記憶から失われても、霧と光に包まれた微かな記憶だけは郷愁としていつまでも心に残しておきたい。
あんびー

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