りょう

リトル・エッラのりょうのレビュー・感想・評価

リトル・エッラ(2022年製作の映画)
3.8
 スウェーデンの映画と言えば、1998年の「ショー・ミー・ラヴ」という作品がありました。少女の同性愛を描いた物語で、その当時に日本でヒットする要素はなかったかもしれませんが、そこそこ話題になった秀作です。
 この作品でも男性のカップルが普通に登場して、サッカーが大好きな幼い少女が主人公になっています。北欧の作品ならではの設定です。現地の絵本が原作らしく、映画そのものも子ども向けでしかないし、ところどころ下品な表現があって、飲食しながら観られないかもしれません。
 ただ、主人公のエッラを演じたアグネス・コリアンデルがめちゃくちゃキュートで、ずっと彼女の表情と仕草を観ていたくなります。サッカーをやっているからか、まだ幼いだけなのか、他の女子よりもボーイッシュな雰囲気が素敵です。大人たちの演技はB級コメディのレベルですが、ほぼすべてのシーンに登場する彼女が映像を支配しています。
 物語のテーマも彼女がしっかり体現していて、終盤で自分のイタズラが招いた事態に「どうしよう」って半ベソをかくところがハイライトでした。そこから奔走する姿も健気で、空港でのナイスシュートも感動的な伏線回収でした。1人の少女が物語を牽引するという意味では、「ミツバチのささやき」くらいのインパクトがあります。彼女のクラスメイトのオットーは、「ジョジョ・ラビット」のヨーキーのような存在でした。ちょっと風貌も似ています。
 普段は観ないような欧州のコメディですが、思いがけずこんな作品に出会えてラッキーでした。81分の短尺なので、ダマされたと思って観てみるのもいいかもしれません。
りょう

りょう