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VOIDのこどものレビュー・感想・評価

VOID(2023年製作の映画)
5.0
間違いなくNN4444一番の快作。

「ニッポンの学校」という公教育機関は均一化を目的とする場所でもある。人の死を悼むネガティブな感情も「均され」、哀しみは日常のせせら笑いの為の小さな娯楽として消費され蹂躙される。

負の感情には虚無でしか抗えない。という設定も、冷たく無機的な一定のトーンで構成される画作りの元に進んでいく本作の世界観ともぴったりマッチ。

まだ虚無に染まらずに抗おうとする少女に現れる「不条理」の数々も、皮肉を交えながらも確かに恐ろしく、そして愛らしくもある。それぞれの怪異が、海外の映画祭では笑いが起きたというのも納得の不気味なアンバランスさの上に成り立っている。

岩崎監督、普段は広告畑の方らしいが、古今東西のホラー好きというのが画に滲み出ている。それだけではなく確かな手腕と天才的な勘の良さみたいなものも感じる。
今後が最も楽しみな監督の1人になった。
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