犬の安楽死や捕獲を違法とする稀有な国トルコ。イエスタンブールの喧騒のストリートで生きる野良犬達の日常を映す。
痴話喧嘩のベンチの片隅で昼寝をする犬。女性運動の行進のど真ん中でセックスをする犬。車道と歩道の境目で微睡む犬。
共存とは不干渉の延長線上にある。
お互いにとって、あたりまえに存在すること。それが共存の本質なのかもしれないと気付かされる。
そして、シリア難民などの戸籍を持たぬ人間の「ノラ」と野良犬たちの交流を描くことによって、人間社会の中に生きる野良と「ノラ」という複雑な構造を生み出し、「共存」に纏わる本作独自の観念を僅かなアイロニーと共に残す。
