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NN4444のこどものレビュー・感想・評価

NN4444(2024年製作の映画)
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先ず、NOTHING NEWという映画レーベルを立ち上げ、新しい映画監督達の才能の受け皿になろうとしている主催お2人の行動力を賞賛すべきだろう。

NN4444は、元々インターネット上でのみ観ることの出来る四作のホラーショートフィルム群だ。専用のホームページ内で、映画を売る「自販機」でフィルムを購入することによって観られる。その時出てくる映画は四作のうち完全ランダム。おまけに購入、視聴できる時間帯を「深夜」に限り、動画再生時にはシークバーなども廃すという尖りっぷり。
視聴者に対して質の高い映画体験をサービス提供者側が強制できるという点は本企画の強みであり、もっとも面白い点でもある。

今回下北の映画館で四作を一挙放映することになったので行ってきた。

さて、この四作は制作会社など含め全く別の座組で制作されている。NOTHING NEWの主催が元々広告畑の方々であることも関係するのか、制作チームも主にCMやMVなどを主戦場とする会社が担当している。
四作品とも、各々違ったテイストではあるものの、それぞれの世界観に沿ったセットやライティング、画作りにおいて、これらの制作会社は映画の現場でも通用するというバリューを示した。
しかし、私個人的な評価では四作品のうち劇場公開に耐えうるクオリティだったのが二作。そのうちの1つ『VOID』のみが快作だった。(『VOID』については、別個でレビューを記載する)
というように、クオリティにかなりムラがあったのは否めない。

全体的に云えることは、テーマが押し付けがましい。それこそ、広告の現場では、先ず「伝えるべきメッセージ」があって、それを効果的に伝えるための方法手段を考えるのかもしれない。しかしホラー映画に於いて、伝えるべきメッセージの重要度はそれほど高くない。それはもう所謂北欧ホラーが眠くなる位にやり尽くしてくれた。もう後人が擦り切れたような轍をなぞる義理はない。注力すべきはメッセージ性ではなく、如何にすれば怖くなるか。その一点の想いから構想すべきではないだろうか。「分からなさ」「理不尽さ」はホラー映画の真髄であり、不条理を銘打つなら尚のことである。ホラーに於いては、あからさまなメッセージを観客に意図させるのは悪手だ。
彼らがもっと本気で怖いものを作ろうとした時に、どんなものが生み出されるのかは気になる。
そして、せっかく四作のオムニバスなのに、ほとんどの作品のテーマが「抑圧」に集約していたのが気になった。特に『犬』と『RAT TAT TAT』の前半二作はフェミニズム的文脈も強く意識させられることもあり、テーマ被り感が顕著だった。
ひとつくらい男性主人公の作品があっても面白いのになと思った。

しかしながら、本作はNOTHING NEWの一作目である。始めて作った映画たちだ。これらのクオリティはともかく、この座組自体にはとてもワクワクするし、ここから新しい才能が発掘されていく期待感も持てる。
引き続き注視したい存在だ。
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