サンチャイルド

ジョン・レノン 失われた週末のサンチャイルドのレビュー・感想・評価

3.5
中学生からのジョン・レノンファンとして、この映画をどう評価したらいいのだろう?
大筋の流れは承知の通りだった。ジョンのソロアルバムのライナーノーツなんかに年表としてまとめられていた流れを復習した気分。UFO の話なんかも。

反戦活動・黒人差別・ウーマンリブといった60年代の改革のアイコンとなったジョン。
その政治活動のほとんどは、当時においては成功とは思われず、ミュージシャンとしてのキャリアを華やかにしたとも言えず、アーティストとして時代とずれつつあると見なされる瀬戸際だったと言える。そうした状況にヨーコも含め、疲れ苛立ちきっていたはずだ。
そのたまりきった嫌なガスを抜ききる時期が、このメイパンとの蜜月の時間だった。

ジョンがそれを「失われた週末」と表したのは、当時のミューズであったメイパンには、耐え難いことだったろう。その反論を聴くための映画である。当然、元鞘に戻られた女性としての恨み辛みも含まれる。
あの時期のポールとの再会なんかは、メイパンあってのこそとは思う。ヨーコじゃなく、メイパンのままなら、ビートルズの再結成もあったのではとも暗に匂わせる。(そうしたところに、同情を集めようとする嫌らしさが、垣間見られる映画でもある)

とはいえ、時の洗礼を受けた現代においても、ジョンのソロのピークは、ヨーコをミューズとして創られた「ジョンの魂」「イマジン」などのアルバムにあるし、あの身を削った政治活動も意義深いと評価されていいはずだ。
なにより、ヨーコとショーンとの5年間の隠遁生活を送ったことで、ミュージシャンより政治かでもない、ただの人間に戻り、その後創られた「ウーマン」や「ビューティフルボーイ」「車輪を眺めて」などというロック史に永遠に刻まれる大傑作ソングもあるのだから。
その辺は「ジョン・レノン、ニューヨーク」というドキュメンタリー映画に詳しくある。

ヨーコはミューズというより、戦友に近い感覚だったかもしれない。ポールと同じく。メイパンには酷なことをいうようだが。