このレビューはネタバレを含みます
戦場カメラマンという中立な立場で巡る地獄の戦地ロードムービー、そして非情なカメラマン誕生への旅路。
アレックス・ガーランド監督作品。A24史上最高製作費をかけた大作をアレックスガーランドが撮ったということで見に行ってみた。
まず本作はもし現代アメリカで内戦が起こったらという程で進む戦争映画になっているが、あくまでも戦場カメラマンという中立的な視点で語るテイストがめちゃくちゃ良い。
まあストーリー的に言えば"1917命をかけた伝令"のような戦地を巡るロードムービーなんじゃなかろうか、大統領に取材するためにワシントンD.C.を目指す目的までしっかりラインを引いている。そんな移動過程の中でしっかりカメラで地獄の惨状を収めつつ、すぐそこまで死が近づいている緊迫感がずっとありヒリついた様相にジリジリ詰められるよう。
またサブというかもはやメインであろう素人カメラマンが成長し果ては非情なカメラマンを誕生させるという戦場の異常すぎる環境よ、戦争という異常すぎる環境が人を変えてしまう語り口はしっかり戦争の真実を捉えている。男性ベテランカメラマンと女性ベテランカメラマン.素人女性カメラマンたちのドラマが織りなす旅路の過程を眺めるのもまた醍醐味か。
あとアレックスガーランド作品という点では"MEN"ほどでは無いが、しっかり統制された映像美が散見されていて素晴らしかった。ゾンビ映画のようなぐちゃぐちゃのハイウェイのショットなどハッとさせられる。全編IMAX撮影がけっこう映えてて素晴らしい。
まあ結局はアレックスガーランド的なストーリーの過程で主人公女性の何かが変化するという話がめちゃくちゃブッ刺さる傑作に見えた、ケイリースピーニー演じる素人カメラマンがキルスティンダンストの犠牲で覚醒する瞬間にめちゃくちゃ鳥肌が立つ。ジェシープレモンスの緊迫シークエンスの恐怖とかもえぐい。いやあ今年は"プリシラ"と"ロムルス"合わせて新ヒロインとしてケイリースピーニーが大出世してて喜ばしい限り。