mare

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争のmareのレビュー・感想・評価

3.5
映画史として見たときにゴダール映画とゴダール映画ではないものという風に二分化できるほどに概念化していた彼の最後の言葉。ゴダールからスクリーンを通して何かを受け取るラストチャンス。文化と歴史を細切れにして再構成したコラージュ感覚は本人にしかわからないかもしれない。それでも変革者の脳内を垣間見たという点で新鮮さが勝り、無数のアーカイブにアクセスする生き字引の片鱗を目の当たりにした感覚がある。終わりという意味合いが強いもののように思われがちだが、むしろこれから何かを始めようとする萌芽すら見えた。これが真の映画なのか、映画を超えてしまったアートなのか、真実に辿り着くことは不可能であろうが、創造に対して肯定の意志があることくらいは掴み取れたのではないかと思う。
mare

mare