このレビューはネタバレを含みます
鬱屈して、閉鎖的で、老け込んで、希望もなく、明日をも知れぬ生活、隣人と交わす言葉さえ聞こえないような重苦しい空気と霧と煙に覆われた街で。
自然現象を愛し、周りの人を大切にし、お人好しといえるほどに純粋な、ほとんど作中唯一といっていい若者、ヤーノシュが見たものが、私たちが観たもの。
一切言葉のない、数百数千の足音と破壊音が響き渡る行進の中、もっとも弱いものへの暴力を、その四白眼に焼き付けてしまったヤーノシュ…無事でいてほしかったヤーノシュ…。エステルという味方がいるけど彼もまた年老いて病弱なのが、彼の行く末を曇らせて見える。
救われてくれ。
クジラが「ただのクジラ」なだけだったらどんなに良かったか。
長回しの映像そのものもすごいけど、ヤーノシュの眼力もすごい…まばたきいつしてる?
あと冒頭で酔いつぶれたおじさんたちをグルングルン回してるのはおもしろかった。吐くぞ…wwww