ナツミオ

スーパーの女のナツミオのレビュー・感想・評価

スーパーの女(1996年製作の映画)
3.8
NHK-BS 衛生映画劇場より
DVDに録画したもの
(放送日2007/12/28)

駄目スーパーが、主婦の目線で改革を行い、商売繁盛の人気店になるまでを描いたコメディ、サクセス・ストーリー。

英題 『Supermarket Woman』

1996年日本作品
監督・脚本 伊丹十三
撮影 前田米造 浜田毅 柳島克巳 高瀬比呂志
音楽 本多俊之
出演 宮本信子 津川雅彦 三宅裕司 小堺一機 伊東四朗 矢野宣 六平直政 高橋長英 あき竹城 松本明子 柳沢慎吾 伊集院光 原日出子 

(NHK番組内容より)
五郎(津川)がオーナーを勤めるスーパー「正直屋」は閑古鳥の毎日。
そんなある日、彼は偶然に再会した幼馴染の花子(宮本)にスーパーの問題点をずばりと指摘されてびっくり。彼女を社員として雇い入れることにする。エネルギッシュな彼女が出すアイデアは、社員たちのやる気を起こさせ、正直屋は立ち直っていくのだが……。

激安店の出現により営業危機に追いやられたスーパーの専務が、幼なじみのスーパー好きの主婦の協力を得て経営を立て直すまでを描いたコメディ。

伊丹監督が先を見通した社会問題へ切り込んだ意欲作。

中堅スーパーマーケットは客の立場でしか知らないが、その業界の色々なあるあるを知ることが出来る作品。

コメディ調で描かれるが、本作公開後に食品関係の食品事故、不祥事、産地偽装など世間を騒がせた食の安全に警鐘を鳴らした意欲作だと思う。
(詳細は忘備録・特色に)

伊丹監督作品でお馴染み(⁈)のエロい描写は全くない。
また後半、意外なカーチェイス・シーンもあってエンタメ要素も楽しめる。

本作公開後、スーパーマーケット業界で社員教育・研修用の素材ビデオとしても活用されているそう⁈

社会の問題をコメディ・エンタメ作品に落とし込む監督の手際に驚きつつ、楽しめた作品。



【忘備録】ネタバレ含む
(特色・Wikipediaより)
・最も大きな特色は、2000年の雪印集団食中毒事件を皮切りに相次いで起こった大規模な食品事故を機に社会的関心が高まった、産地偽装などの食品偽装問題や食の安全といったテーマを、その数年前に既に描いていたという点である。
またこの作品ではいわゆる牛肉偽装事件が発覚する前から産地偽装問題について取り上げていた。

例えば、

・変色した肉を赤い蛍光灯でごまかす。
・売れ残りの食品をパックし直して新しい日付で売る(通称:リパック)。
・輸入牛を和牛として売る。
・前日の売れ残った惣菜を翌日の弁当に入れる。
といったシーンである。

・原作小説が現職のスーパーマーケット社長が書いた作品であるためリアルな描写が続くが、そうしたテーマを映画化した伊丹十三の先見性を世に知らしめることとなった。

・この映画による影響で改善されたスーパーマーケットも数多くあったといい、試写を見たあるスーパーの店員たちが上層部に「私たちはこの店をこんなスーパーにしたいんです」と訴えたという逸話も残っている。このような経緯もあり、社員教育・研修用の素材ビデオとしても活用されている。

(キャスト)Wikipediaより
<正直屋>
・井上花子
演 - 宮本信子
男っぽい喋り方と陽気でサバサバした性格が特徴。
強面の職人たちにも気後れせず自分の考えを主張する強気な一面もある。
夫を亡くしてシングルマザーになり、子供は北海道の大学で畜産を学んでいる。
過去に他の小売業の店で働いた知識や主婦の目線でスーパーの良し悪しを判断する目利き能力を持つ。

・小林五郎
演 - 津川雅彦
「正直屋」専務。
花子とは小学生6年生の頃の学友で、ちょっとした言い合いを交えながらも親しい仲で息の合った軽快な会話をしている。
妻に先立たれ子供もない寡夫で「正直屋」の売上不振に悩むあまり酒浸りになっていたが、「正直屋」を日本一のスーパーにするという意気込みだけはある。

<精肉部>
・精肉部チーフ
演 - 六平直政
仕入れている質の良い和牛の一品種の神戸牛を自慢気に扱っており、他の肉の扱いを蔑ろにしている。

・精肉部助手(タケちゃん)
演 - 柳沢慎吾
チーフと同じく職人気質でプライドが高いが、一方でチーフが売れ行きの悪い高額肉を切る仕事などを自分でしたがるため、仕事がはかどらないことに不満を持っている。

・精肉部助手(ゴリ)
演 - 金萬福
ミンチ肉の製造など、細々とした仕事をしている。

<鮮魚部>
・鮮魚部チーフ(しんちゃん)
演 - 高橋長英
元魚屋で地上げに巻き込まれて廃業し「正直屋」に再就職した過去を持つ。
職人気質の荒々しい性格で、刺身を造るのは自身の役目として他の者に一切任せず、当初は花子からの苦言や提案にも「素人の戯言」と反発していた。

・鮮魚部助手(キンちゃん)
演 - 伊集院光
精肉チーフと同様、鮮魚チーフも重要業務である刺し身造りは他者に一切任せないため、自身は三枚卸しなどの仕事をしている。

・パートさん
演 - 絵沢萠子
鮮魚部で働いている。売れ残った魚のリパックを店長の指示でやらされることに不満を持っている。

・パートさん
演 - 原日出子
鮮魚部で働いている。
リパックに対して強い背徳感に苛まれているが、パートという立場から店長たちに逆らえないと吐露する。

<青果部>
・青果部チーフ(キヨちゃん)
演 - 三宅裕司
売れ残った白菜を閉店前に1個10円で売っているが、イクヨによるとそもそもいつも多く仕入れ過ぎているという。

・青果部助手(みつる)
演 - 津久井啓太
キヨちゃんに気に入られている。
他店で買った白菜の芯に縦に切り込みがあったのを、他の従業員が不思議がっていたところ理由を答えている。

・青果部スタッフ
演 - アゴ勇

<他の主な従業員たち>
・惣菜部チーフ(ウメさん)
演 - あき竹城
売れ残りの鮮度の落ちた材料を使って惣菜を作らされることに不満を抱き、リパックの件で花子が役員に詰め寄る際に自ら意見を述べる。

・レジ係チーフ(イクヨちゃん)
演 - 松本明子
早くから花子を慕うようになり、あれこれと提案して指示する花子を支える。

・レジ係
演 - 山田純世
レタスとキャベツの区別がつかない。
ぶっきらぼうな性格で客のクレームにもペコペコ謝ったりしない。

・販促部員
演 - 小堺一機
ある日「正直屋」のチラシに「卵1パック88円・先着1,000名様限定」とするところを、誤って「卵1パック28円」(制限数もなし)と表記した広告を出すというミスをして、客が押し寄せて騒動となる。

・グロサリー部
演 - 与世田浩

・駐車場係
演 - 里木佐甫良

・正直屋の経営陣
小林一郎
演 - 金田龍之介
五郎の兄。
近くにある「安売り大魔王」が新装開店で価格破壊を目玉に売上を伸ばしており、「正直屋」の客を取られたことを危惧している。口先だけの頼りない五郎を心配している。孫が多い。

・店長(キクニちゃん)
演 - 矢野宣
客や店の信頼より、目先の利益と私欲を優先するエゴイスト。

<安売り大魔王>
・社長
演 - 伊東四朗
花子に言わせると「インチキスーパー」の社長。
五郎に対して売上不振の「正直屋」の買収を持ちかける。

・店長
演 - ヨネスケ
常に社長の傍に控える腰巾着。

・店員
演 - 渡辺正行
ファミリーサイズのアイスクリームを1000個限定の安売りで客を呼び込んでいる。しかし短時間で売り切れとなるため、居合わせた花子からインチキではないかと疑われる。

・用心棒
演 - 忍竜
大柄な体格。
社長のそばで睨みをきかせている。

<スーパーの客>
・上品ぶったご婦人
演 - 野際陽子
店長によると「町会議員のナニ(愛人)」と言われている。

・駐車場の男性客
演 - 矢吹圭司
「正直屋」の店用カゴを車のトランクに入るだけ持って帰ろうとするマナーの悪い客。

・レジに並ぶ女性客
演 - 迫文代
一日の買い物金額を2,000円までと決めている。

・常連客のオバサン4人組
演 - 田嶋陽子
精肉売り場ではがし忘れた特売の値段とレシートの請求金額が違うと苦情を言う。

・その他の客
演 - 阿知波悟美
挽肉の色が2日経っても赤いままであることに不審を抱き、おかしな薬品が入ってるのではないかと疑うが、精肉部員たちから肉の鮮度に関する説明を受け、逆に感心する。 
演 - 柴田理恵
博多出身。
客に対する惣菜などのテスティングで、おにぎりの具のたらこの奇妙な食感を花子たちに指摘する。
演 - 川俣しのぶ
自身の不注意により卵をパックごと落として割ってしまう。

<その他>
・おにぎり屋の社長
演 - 岡本信人
つるかめ食品の経営者。
テスターの主婦からおにぎりの食感がおかしいと指摘を受けた花子らの調査により、おにぎりの具に使うたらこに、ししゃもの卵を混ぜて誤魔化していることが発覚。
花子の熱意ある説得を受けて具の改善に取り組む。その後テスティングに同席した際、改良されたおにぎりの味をテスターたちから絶賛され、感動のあまり泣き崩れてしまう。

・屑肉業者
演 - 不破万作
精肉部チーフとつるんで屑肉を引き取る際、密かに高い肉の横流しをする。

・五郎の父の遺影
演 - 沢村国太郎

・デコトラ運転手
演 - 佐藤蛾次郎
デコトラ「芸術丸I」の運転手。

・漁港の医者
演 - 緒方昇
冷凍車から救出された花子を診察する。

・看護婦
演 - 清水美子
医者と共に花子の処置を行う。

・カモメ漁港のおじさん
演 - 奥村公延
漁師で生計を立てている。
冷凍車から救出された花子を看病する。

・おばさん
演 - 石井トミコ
冷凍車から救出された花子に部屋を提供する。花子と五郎を夫婦と勘違いしている。
ナツミオ

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