長々と鈍重に引っ張ったシュール世界を、板尾登場を契機に一気にぶっ壊して得意分野に持ち込む、その話法、構成はかなり気に入ったので、全体としては満足。気になるのは、松本監督がどういう順序でこれを思いついたのか。シュール世界を撮りたいというのが先に来て、収拾の方便としての「板尾以降」であったのか。それとも、はじめから「板尾以降」が目的で、長い前フリとしてシュール世界を配置したのか。どちらかといえば、後者であってほしいとは思うが。
ところで、シュール世界のパートは観ていてやや重苦しくイライラするのだが、そのイライラは「ツッコミ欲しさ」ゆえのものなのだ、と観ている途中で気づいた。一方、「実写」パートに移り、ヒーローがハトバスを掴んで怪獣を殴る、蹴る。あのアクションには「浜田」が重ねられて見えてくる。そして、それで何となく安心する。結局この映画は「ダウンタウン」を超えられていないということなのかもしれない。