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アビゲイルのkanacoのレビュー・感想・評価

アビゲイル(2024年製作の映画)
3.7
〈侮っていた相手がとんでもない強者だった〉系の吸血鬼ホラー。可愛いのにあまりにも物理アタッカーなヴァレリーナ・ヴァンパイアの図が面白い🤭舞台美術や衣装など細部まで拘りを感じるヴィジュアル面が◎。何も考えずにお気軽にケラケラ笑いながら鑑賞できるライトに楽しめた血みどろファンタジー😉✨(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
ジョーイは「大富豪の娘を誘拐して身代金を要求する」という計画のため、お互いの素性を知らないままに集められた即席の犯罪チームに参加する。首謀者であるランバートの計画の通りに娘を誘拐し、後はランバートが大富豪と身代金の交渉をしている間、指定されていた立派な洋館に娘を閉じ込めておき監視するのみ。このままうまくいけば多額の身代金を山分けできる算段であった。世話役となったジョーイは誘拐した娘・アビゲイルがまだ12歳という年端もいかぬ子供だったことを知って驚き、洋館の一室に監禁され怯えているアビゲイルに「身代金が欲しいだけ。あなたを傷つけない。他のチームメンバーからも必ずあなたを守る」と約束する。そんな中、館でチームメンバーの常軌を逸した死体が発見される。この非常事態にジョーイたちは洋館から逃げ出そうとするが…?

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「大富豪の幼い娘を誘拐したら実は凶暴なヴァンパイアだった!?」という、〈侮っていた相手がとんでもない強者だった〉系吸血鬼ホラーです。12歳の女の子アビゲイルが相手なので楽勝だと思っていた誘拐計画は途中まではスムーズでしたが、徐々に雲行きが怪しくなりやがて立場逆転。犯罪チームメンバーが狩られる側として阿鼻叫喚な一日を過ごします😂

それだけ文字起こしをするとシンプルなお話に見えますし実際その通りなのですが、私が当初に想像していたよりはもう少しだけ展開があったなぁと思いました。犯罪グループのメンバーもこの計画で初めて顔を合わせた寄せ集めメンバーのため、正体を隠すアビゲイルだけでなく全てのキャラクターの素性が知れません。その情報が徐々に開示されていく感じは楽しめました。ただ…最期の展開はやや「🙄❓」となりましたが…(アビゲイルはあれで良かったの?あの人序盤にバンバンあなたに銃を撃っていたけど…。意外と懐深いアビゲイルちゃん)。

個人的にはこの作品で最も良かったのはヴィジュアル関係✨

❶アビゲイルの自室や洋館などの凝った舞台美術が良き!

アビゲイルが舞台で1人バレエ曲『白鳥の湖』を練習しているオープニングから始まり、その後に自宅に帰って自室で休もうとしているところを誘拐されます。その自室が「我、お金持ちの可愛いお嬢さんなり~」みたいな、絵にかいたような富豪の娘のヨーロッパ風ロリータ部屋でとても可愛い!

またメイン舞台となる立派な洋館の美術・内装も、現代と中世ヨーロッパ要素の匂わせがうまく組み合わさっているような、まるでゲームに出てくるような造形をしていて物語にピッタリでした。犯罪チームが洋館を探索したり、襲い来るアビゲイルから直線的に部屋から部屋へと逃げ惑うための部屋数が用意されているため、外舘よりも中が広くみえます。

パッと思い出したのは、2005年にカプコンより発売されたPlayStation 2の『DEMENTO』。あちらは古城でしたが洋館はその小さい版といった印象でした。というかアビゲイルちゃん、そのままゲームキャラクターだったとしても全く違和感ないもんなぁ🤔✨麗しサイコパス・メイドのダニエラさんが気持ち悪い錬金術お爺じゃなくてアビゲイルに仕えていたとしても何にも違和感ないもん😂

❷キャラクターやファッションのヴィジュアルが良き!

今作で中心となるのはアビゲイルと彼女を攫った犯罪チームの6人。キャラクターたちはみな個性が立っていますし、設定にあったキャラ付け・ヴィジュアルがなされていて良きでした。

主人公のジョーイは性格により洋服はシックにまとまっていましたが、上流階級育ちのハッカーである若い不良娘サミーのパンクファッションが派手可愛い!加えて髪がまとまっているようでポワポワ毛が多量に出ていて「あらま~髪が痛んでそう~」という感じも良い。洋服はこだわってチョイスしてあんなにゴタゴタ重ね着しているのに、髪は遊びのために虐めていて、でもケアは面倒で無頓着なので痛んでいる‥‥みたいな家出少女感が現れているように感じて「良い~😄✨」となりました(まぁ、吸血鬼に追いかけまわされれば誰でも髪は乱れるかもだけど、ちゃんと乱れていること大事)。

❸何よりアビゲイルちゃんのキャラクターがイイ!

〈踊る吸血鬼(ヴァレリーナ・ヴァンパイア)〉であるアビゲイル。自分の見た目年齢を利用しての演技や言葉でターゲットを巧みに騙しますが、実は武闘派という物理アタッカー。彼女の好戦的なアクションシーンでは、しなやかなで軽やかなバレエの動きと吸血鬼らしいゴシックホラーな残虐性、そしてそれを12歳の少女が行っているという要素が組み合わさって、良い意味で奇妙さが可笑しくて笑ってしまいます。遊びながら狩りをするような無邪気さや、これ見よがしなバレエステップが印象的。『白鳥の湖』の雄大な音楽をBGMに行われる殺戮劇場は笑わせにきているとしか思えません🤣

本来の年齢の割には幼さを醸す部分もあって、アンバランスさがずっと魅力に映るアビゲイルは良いキャラだなぁ、と思いました。

❶❷❸の他にも、思ったよりも景気の良い(?)スプラッター・ゴアなのも娯楽的でお気楽なので良かったです。伝統的な吸血鬼の特性については割と自由に設定していますが、利くと採用した弱点特性は即時発動かつ、もはや“利きすぎ” 状態🤣そのために強敵な吸血鬼に対して人間側も一発逆転できるチャンスがあるのもゲーム的で軽さがありました。

B級かなと思っていますが、そのできる範囲で細部までちゃんとしているなと感じるヴィジュアルやキャラクター・美術、映画全体としては割と“こじんまり”としているところも含め、何も考えずにお気軽にケラケラ笑いながら鑑賞できる、ライトに楽しめた血みどろファンタジーでした😉✨

🦢💿🐝「なんで『白鳥の湖』なのだろう。音楽の知名度と、無垢な12才感と長寿の吸血鬼感について、純粋な乙女白鳥オデット姫と残虐な魔女黒鳥オーディルの二面性に掛けているのかな🤔」
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