香港の若き人気作家と台湾の若きチンピラガイドが台湾のどこかにあるという【鯨の消えた入り江】を一緒に目指すうちに心を通わせていく青春ドラマ・ファンタジー。柔らかさと温かさの中に隠し切れぬ切なさが漂う〈親愛深すぎる友情モノ〉なるも、軽やかで明確なBL風味を終始まとわせた仕上がりかな😌(140文字)
****以下ネタバレあり&乱雑文****
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』をいまだ引きずっていてすみません(しつこくて)😂私がどハマっちゃったキャラクター「信一」を演じているテレンス・ラウ(劉俊謙)の他出演作品を探したらこの作品に辿りついたのと、前にフォロワーさんがMARKをつけていて気になっていたので鑑賞。本作のテレンス・ラウはケンカが強い有能舎弟「信一」とは反対な、ケンカなど一度もしたことがない生真面目で傷心している小説家さんでした🤭
◆あらすじ◆
香港の若き人気作家ティアンユーは盗作疑惑をかけられて深く傷つき自殺願望を抱く。その時にふと思い出したのは、昔にやり取りをしていた素性の知らぬ文通相手が教えてくれた、台湾にある【鯨の消えた入り江】という場所の逸話。そして最後の便りとなった写真の裏に書かれていた「ここで待ってる」という言葉…。ティアンユーは導かれるように、両親と最後に旅行に行った場所でもある台湾を訪れる。そこでも自暴自棄になっていたティアンユーはぼったくりバーにひっかかってしまうが、地元のチンピラ青年アシャンに助けられた。アシャンの有料案内で行きたい場所を聞かれたティアンユーは【鯨の消えた入り江】へ連れて行ってほしいと頼む。アシャンはその場所を知っていると言い、ティアンユーをバイクの後ろに乗せると目的地を目指すのだが…。
❶香港の若き人気作家と台湾の若きチンピラガイドが心通わせるBL風味な青春ドラマ
香港の若き人気作家と台湾の若きチンピラガイドが、台湾のどこかにあるという【鯨の消えた入り江】を一緒に目指すうちに心を通わせていく青春ヒューマンドラマです。
香港人の若者ティアンユーは人気作家。繊細かつ生真面目な彼は盗作疑惑をかけられて強いショックを受け自殺願望を抱きます。そんな時に思い出した、会ったことのない昔の文通相手から教えてもらった場所【鯨の消えた入り江】。
―台湾にある【鯨の消えた入り江】には昔はたくさん鯨がいた
でも鯨獲りのせいでいなくなった
鯨の後を追えば楽園に辿り着ける
死に場所を探す思いを秘めティアンユーはそれに導かれるように台湾を訪れます。台湾で悪党に絡まれていたところを助けてくれたのは台湾人の青年アシャン。【鯨の消えた入り江】の場所を知っているというアシャンの提案で、ティアンユーは彼と共に入江を目指します。バイク1台で男2人旅。アシャンはチンピラでお調子者、器用でおしゃべり。一方で堅物で遊び馴れずケンカなど一度もしたことがないような不器用なティアンユー。2人は正反対の性格。始めは反発もするのですが、道中の出来事を通してお互いの弱さや優しさに触れ少しずつ心を溶かし、お互いが心の拠り所になっていきます。しかしあることがきっかけでティアンユーが香港に戻ることになった時、なんとも不思議な縁が浮かび上がり…。
【鯨の消えた入り江】を鍵として2人の青年の間に生まれる絆は、一応は恋愛ものではなく友情ものへ比重が傾いているかとは思いますが、軽やかなるも明確なBL風味を終始まとわせた仕上がりになっています。また、前半は台湾の美しい風景の前で2人が徐々に心を近づけていくロードムービーですが、後半から唐突にギアチェンジ。「え?そういうお話だったの?」というファンタジーな路線へと展開していきます。Life is strange…切なさと温かさに包まれた世にも奇妙な物語です。
❷柔らかく切ない雰囲気とライトノベルのような進行、そして美男子2人
とても柔らかで、しかし隠し切れぬ切なさが漂っているような雰囲気です。静かな余韻を響かせるように音楽は丁寧で穏やか。アシャンとティアンユーはトラウマを抱える陽気な貧乏チンピラ青年×自殺願望を抱える堅物な金持ち小説家青年という、設定(属性)が定番的な盛られ方をしていますが、それらに対するエピソードも含め映画で起きるイベントは(どこまでも深堀できそうなのに)どれもあっさりとしてサラサラと流れていきます。サクサクな展開の中で徐々に二人がお互いにほだされていきますが、その軽さはまるでライト小説を読んでいるような気分。その上、登場人物は最小限でほとんどは主人公の2人のみ。それにも関わらず、
「俺たち美貌の絡みを映すだけでも100分画面は持つんだぜ!(*ゝ∀・)v (*ゝ∀・)v」
という印象を覚える程、台湾の美しい風景×ティアンユーとアシャンの美男子の掛け合いで目を延々と惹きつけるポテンシャル!こんな「美」はさすがに目の保養だし、これに画で勝つことができるのなんて何てグァバ🐕くらい。可愛い~グァバ🐕💕
なお、グァバは後半の2人に起こる出来事にはいっさい関係がないのですが、それでもこの不思議なワンちゃんの登場自体、この映画がそもそもファンタジー路線であること示唆するジャブみたいな感じだったのかな🤔
❸別にいいのだけど、ちょっとだけ気になった点
この作品、あくまで「BL風味」なので際どいシーンは全くないです。そして私のラインではブロマンスではない。だから「友情」か「恋愛か」だと思うのですが…。明確な恋心みたいな描写もないので〈親愛深すぎる親友モノ〉というラインになっている気がします。その一方「あるある」なBLショットが多分に演出されています。「そうはならんだろ」を連発します🤔そもそも〈トラウマを抱える陽気な貧乏チンピラ青年と自殺願望を抱える堅物な金持ち小説家青年〉みたいな属性もずっと昔からあるテンプレに感じるし、全体に古くからあるBLド定番が散りばめられています。
しかし私にはどうもそれが“ちぐはく”に感じられて…🤔この映画が基本としている〈親愛深すぎる親友モノ〉であるならば、それらの演出は全て「あからさまなサービスショット」のみの機能になってしまうと思うのです。これが〈仄かな恋心をまとわせたBLモノ〉であるならばそのサービスショットもあからさまでも『意識している』みたいな演出の意味合いも一応は持たせることができると思うのです。BL風味とか匂わせとするにはちょっとくど過ぎる…。
1回でも明確な意思を持って触れ合うだけのキスをすればこの作品はBL、しないから友情もの、みたいなやや雑なバランスに感じます。だから〈親愛深すぎる親友モノ〉ならもっと演出はさりげなくした方が映画としてまとまりが良いし萌え度も上がるし(え?)、ここまで定番演出を入れていくならライトさはそのままにしながらハッキリBLにしてしまった方がまとまり良いし納得ができるなぁ~とひっかかり。
…は?私は何を語っているのだ???🙄別にBLが良かったということではなく、このタイプの作品ならどちらかに寄った方が「映画単作」としてまとまったのではないかな、と思ったのみです。
ただまぁ、そんなことはあえて言えばくらいでさほどでもなし。この映画を見終わった後に最初に思ったのは「面白かった」とか「良い〈映画〉だったな」よりも、
「2人がこの結末を迎えることができて良かったな😊」
というホッコリ満足感。最後のアシャンのはにかんだような笑顔にホッとしました。正直なところ〈親愛深すぎる親友モノ〉でも〈仄かな恋心をまとわせたBLモノ〉でもどうでもよいですが、こんな一生懸命で可哀想な良い子たち、どのみち幸せにならないと嫌ですよ😌
💌🐝「あと2人の仲の進展には関係ないし、後半のギミックにも関係はないけど、指標とはされて複数回出てくる1つのキーワードみたいな扱いが『レスリー・チャン』という方なのですが、どちらさま?😀✨有名な人っぽいし、監督さんがその人好きなのかな?」