シミステツ

少年のシミステツのレビュー・感想・評価

少年(1969年製作の映画)
3.8
当たり屋をしながら全国を縦断する家族の物語。
貧困家庭の暮らしに焦点を当て『万引き家族』に通ずるものも感じる。
傷痍軍人の父、後妻の母という家庭の少年はお駄賃の1000円でひとりで旅に出るなど、物怖じしない芯の強さを感じるし、目付きがいい。個人、家庭の貧困問題を押し広げて案に国家にメスを突きつける大島渚監督のやり方。傷が本当に痛くなる皮肉も居た堪れないし、少年を主人公に据えることで善悪を限りなく濾過しながら問うているような感じ。終盤の雪のシーンの兄弟愛。弟のチビ、名演すぎる。