ペイン

めまいのペインのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
5.0
世にも完璧なラブミステリー。“幻想しか愛せない男”と“幻想としてしか愛されない女”の話。

「タクシードライバー」の名スコアでもお馴染みバーナード・ハーマンの登場人物の心情と完璧にリンクした音楽、ブロンドが眩しい圧倒的ヒロインのキム・ノヴァク、観客の感情を操り画面に釘付けにさせるヒッチコックのスーパーテクニカル演出、入り組んだプロットの完璧な脚本。挙げればキリがないが細部に至るまで完璧だ。

本作は本当にヒッチコックの変態性が炸裂しまくった映画であり、ジェームズ・スチュワート演じる主人公の女を自分の理想に近づけようとする様は嫌悪感を抱く人もいるだろう。ただこういった変態性って誰しも少なからずは秘めてはいないだろうか?自分の恋人をより自分の理想に近づけようとしてしまうことってあると思う。

純粋に“あー面白れー!”というヒッチコック映画を観たいならば「裏窓」「バルカン超特急」等がオススメだが、ヒッチコックの真の魅力に触れたいならば、やはりこの作品を観るべきでしょう。これはヒッチコックの極々私的な映画だから。
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