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ハワイの夜の3104のレビュー・感想・評価

ハワイの夜(1953年製作の映画)
3.3
スポーツ親善使節としてハワイに派遣された水泳選手と、偶然現地で出会った日系二世の美しい娘が織りなすはかないラブストーリー。当時としては貴重だったであろうハワイロケが見もの。
時代情勢や身分が恋する2人を裂く。ありがちといえばありがちな悲恋話も、ハワイを舞台に撮影するとどこか外国映画っぽく見えなくもない。開放的な青空(白黒映画だが)と風光明媚なハワイの各所。異国という“非日常”の助けを借り、岸恵子と鶴田浩二の恋の炎は短くも美しく燃ゆ。

若き日の岸恵子は顔といい声といい、まるでお人形さんのようなかわいらしさ。日本人離れというか、何か別の品種の生物ではないかと思われるその佇まいは、ハワイ生まれの二世という役柄でもなんら違和感を感じさせず(しかし「スコシナラ日本語ワカリマス」と言っていたのに、いつの間にかわりと込み入った会話も理解しているのはなぜか。昔の映画によくあるご愛嬌)。
相手役の鶴田浩二も後年の傷だらけなイメージはまだなく、甘いマスクの男前で役柄にもマッチしている。鶴田と共にスポーツ親善選手としてハワイに派遣された三橋達也の“相棒ぶり”が物語の(特に前半のハワイ観光パートにおける)一服の清涼剤。2人共戦前の水泳選手といわれてもまぁ、うなずけなくもない印象。

カラっとした背景に、それだけに次第に湿っぽくなる物語が良くも悪くもコントラストを成す。日本とアメリカの隔たり。日系1世と2世の間にも壁が。親善使節としての役目を終え鶴田は帰国する。折しもその後日米関係は急速に悪化し、遂には太平洋戦争開戦。2人はもう二度と会えないのか・・。

“ハワイの夜”のパーティーでの岸と鶴田のダンス。次第に2人の周囲から人がはけていき、画面も暗くなってゆく。最後は外の明かりに2人が影のように映し出される。このシーンが変にロマンティック。あとはラストシーンの鶴田の表情とそれを見送る岸の姿。これもまたメロドラマ然としたロマンティックさに彩られている。

キャストは他に水島道太郎、小杉勇、江川宇礼雄、瀧花久子、水の江瀧子など。ターキーは出番はごく少なかったけれどやはり長身で目立っていたなぁ。
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