このレビューはネタバレを含みます
なんといっても、被写体の動きを柔らかにフォローするカメラの動きが心地よい。特にミルカ氏に声をかけられた富田望生が差し出された手を握る光景を真横から撮ったあと、左へ歩いていく二人をカット割らずにそのまま見送る位置にスライドに、さらに左にパンするとミルカ氏の絵が写る、という撮影が見事。家中に絵を描く小林さんが、作中一度目は別れ際に玄関で姿の見えなくなるまで手を降ってくれるものの、二度目は病気をしたのか室内で横になっているため玄関は無人と、玄関を撮りながら後退するするカメラというショットの繰り返しと差異が切ない。そのカットで予感させられる通り彼は亡くなってしまうが、しかし作品は残るという希望も感じられるのが良い。