ひでG

天城越えのひでGのレビュー・感想・評価

天城越え(1983年製作の映画)
3.5
記憶の中では【松竹→松本清張→野村芳太郎】て、決めつけてたけど、監督は違う人だった。
でも、伝統を受け継いでというか、松本清張の、昭和の、松竹の味は色濃く出ていた作品。

まず、渡瀬恒彦の老刑事と平幹二朗の会話。あの部屋の何とも言えぬ閉そく感、
【掘り起こされたくない過去】が地面の深い所から出される嫌な感じ。

それに対比して、少年時代の回顧。ぐっと時代が古くなるのに、画面がやや明るくなる感じ。
隠していたものが地中から出た開放感にも思える。

この頃の田中裕子【今も素晴らしい俳優さんだが】はいい!
薄幸な感じと色気、僕もあの少年だったら絶対ひかれていたはず。

松本清張の推理は、ある意味一点集中型。
推理の鍵はあまり複雑ではない。
だから、推理ものとしては、それほどカタルシスも高まらないけど、
この映画は周りの風景とか心情を細やかに再現しているところが一番の長所、見どころである。

それにしても、野村芳太郎に似た作風に仕上げた三村晴彦監督。その後ばっとしなかったのはなぜ?
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