ひでG

ラーゲリより愛を込めてのひでGのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.5
んん、惜しいなあ、、

戦争は1945年8月15日に終わった訳ではありません。
本作で描かれるように敗戦から11年も抑留されていた人たちがいたからです。
シベリアには、60万近くの方々か抑留さられ、その一割は極寒の地で命を落としたたのこと。

歴史の影に隠れた人々のことを映画する。
しかも、嵐の二宮和也主演のメジャー系ということで、とても意味のある作品だと思います。
そして、本作はテレビなどのメジャー媒体を使って宣伝を打てて、ニノという絶対的エースを起用して、商売としても安定した域までは達しました。

内容的にもある程度まで持っていける職人
瀬々監督だから安心して観られる作品だと思います。

そうは思うんだけど、正直、お話は良いんだけど、なんか何かが足りないってずっと感じながら観ていました。

伝えなくちゃいけない悲しい事実を丁寧に描いているのに、なぜかすっごくは心に入っていきません。
心の奥底の真に揺さぶられる部分に届いていけないのです。

話の良さや俳優陣の頑張りは良いとして、なぜ高まらなかったのかを自分なりに分析してみたいと思います。

過酷な抑留生活の中でも、仲間を大切にし、家族を想い続けてシベリアの地で亡くなった山本さんのストーリーは普通に撮っていても感動的だ。
そこにあえて感動して〜みたいな演出を過度に加える必要はない。
むしろ、抑制してこそ、伝わることも多い。
この映画では絶対に削るべき場面が少なくとも2つある。
ここからシーンの詳細に触れるので、ネタバレになる可能性があるので、大きく改行します。






この映画の省いた方がよかったシーン①
黒が帰国する隊員を追ってくるシーン。あれじゃまるで「南極物語」💦どうやって極寒の中で生きていたのか、すげ〜元気じゃん?って余計なことを思ってしまい、一気に冷めちゃった。

省いた方がよかったシーン②
ラストシーンの結婚式。山本さんの想いが代々続いていくというメッセージなんだろうが、結婚する女性は山本さんのひ孫、、親族の祖父がスピーチするかな?すごく作為的な設定、、もっと自然に山本さんの記憶が伝わるようなラストにできなかったかな。

この2つの場面は、スイカに砂糖と練乳をかけるようなもの。なぜ、スイカの甘みを信じないんだろうか、、
スイカの味をもっと引き立てる努力をすべきだったのでは、、

例えば、今の撮影条件の中では良く撮っている方なのかもしれないが、シベリアの極寒さがあまり伝わってこない。抑留生活の酷さが絵から伝わってこない。着ている服装がきれい過ぎて、中にはアイロン感さえ感じちゃう💦
山本さんの家族が住んでいる戦後すぐの家もきれい過ぎ。北川景子の服もそう。
そーゆー絵で見て伝わることに無頓着過ぎる気がする。
お話だけでなく、美術や衣装をもっと本気出した方がいい。

役者陣の中にも感情の高まりの表現がオーバー過ぎて、逆に引いてしまう人がいる。
北川景子と桐谷健太。あまりにもテレビ的演技、、北川景子さんのファンには申し訳ないが、んん、映画は不向きなのでは、、

ニノや安田顕は安定している。やはり、トップは松坂桃李。彼が居ることで作品全体にも深みが出ている。この作品で一番の盛り上がりのセリフは彼から発せられる。

原作は機会があったら読んでみたい。
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