ネノメタル

シド・バレット 独りぼっちの狂気のネノメタルのレビュー・感想・評価

4.2
己の「アーティスト」としての感性に忠実であろうとする余りドラッグに溺れて、お薬を服用しまくり、薬物依存に陥り(全部同じやんけw)、結果精神も肉体も共々ズダボロになりつつも既存のポップス・ロックミュージックのフォーマットをアートのレベルにもまで高めようとした孤高の天才アーティスト、シド・バレット。
 やがてそれが自ら名付けて結成したピンク・フロイドというバンドだとか自分自身の才能をも崩壊へ導いてしまうという、一人の才能有り余りすぎる天才の人生を追った悲劇のドキュメンタリーというべきか。
 だからこそPink Froydの1stアルバム『夜明けの口笛吹き』はリリースから50年以上経過しようとも未だにヌラヌラと不気味なまでに輝き続ける音像を放ち、未だにロックヒストリーの中でも色褪せない存在であり続けるのだろうなとも思ったりする。
そして今回はっきりと思ったのはピンク・フロイドというバンド自体シド・バレット在籍時・脱退以降と大きく分かれて別物バンドになっていくという世間的な共通認識は決して間違いないと思うのだが、ロジャー・ウォーターズをはじめとするバンドサイドはむしろ彼の幻影を求めるようにバンドを展開していった事である。
それはハッキリと彼をインスピレーションの源にしたことはタイトルにも現れていて『Crazy Diamond』だとか『Wish You Were Here』などは紛れもなく彼を意識したものであることからもわかる。
そう考えると70年台の大名盤である『Dark Side of the moon』を「狂気」と邦題をつけた人の感性は凄いよな。ピンク・フロイド自身のシド・バレット観をさながら具現化したような言葉だし、或いはしれっと本作の邦題とも呼応してるし。
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