ネノメタル

猿の惑星/キングダムのネノメタルのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
4.5
Ape Shall Never Kill Kong!

白状します、正直冒頭の環境映画のようなひたすら繰り広げられるエイプワールド的な展開がかなりダルくて寝落ち寸前だったことを。
いや、だって、そんなものじゃねーだろう?と。
そもそも『猿の惑星』ってのは60年代だったら銃規制であるとか、アメリカの奴隷制度であるとか、ベトナム戦争だとか、70年代以降だったら核実験だとか、ここ最近のリブート作品だったら「遺伝子組み換え問題」であったりだか、このシリーズはある種の社会的な問題とリンクする点に意義が見出されるので、そんじょそこらのSFものとは違うのだと。
これはもっと高尚な志の高いカルチャーなんじゃないのか、一時期日本でも90年代半ば以降サブカル界隈でやたらと持て囃されてたし。
ところでなんであの時期の志村けんはベイシング・エイプのTシャツ着てたんだろう?
 そんな事も考えてたから正直ゲンナリ感が拭えなかった。
だが、私の中でガラッと流れは変わったのはエイプでも猿でもなく一人の人間だったのだ!
中盤で「メイ」という人間の女性が登場して以降もう映画の景色がもうガラリと変わった。

ほんとにもうこの人がひたすら凄かった。

だって一夜明けてもまだ余韻が残ってるぐらいだ。

彼女は1968版のオリジナルキャラらしいんだがももはや全シリーズ史の中でも猿も人間も含めて最強最高のキャラなんじゃなかろうか?
話は脱線するが旧作をリメイクする時当時のものを忠実に再現するのではなくて今の時代における再解釈を施してエクストリームした時めちゃくちゃテンションが上がる。
例えば『シン・ウルトラマン』におけるゼットンの解釈みたいなああいうノリが好きだ。あそこに今のこの時代に当時をリメイクする事に関する制作者のプライドや意地やこだわりを感じるのだ。
そうだ、【レジェンド】とはそれをそっくり踏襲するのではなくそれを乗り越えてこその進化なのだなどと思ったり。
それで私はそれと全く同じニュアンスを「メイ」に感じたのだ。正に56年を経てエクストリーム化した新たなメイというキャラクター。
こういう所に私は50年以上続いている『猿の惑星』シリーズのコアを感じたりして。
 本編でもやたら「evolution」という表現が出てきたが『猿の惑星』シリーズ全般に言えるけどその進化に根ざした「攻め」のアティテュードを感じるのだ。
その点往年のファンコミュニティ達にガチガチに包囲されている(本シリーズとほぼ同時代にオリジナルが始まった)『ス◯ー◯ォーズ』にはあくまで個人的にだけど、かなりコンサバティブな印象があってあんまり馴染めなかったりするんだな。
あの作品未だに各キャラクター達の「着ぐるみ感」が半端ないし。
もはやエイプの帝国がどうこう以前に彼女の一挙手一投足に釘付け状態でもはやクライマックスのまさかの展開に爆笑につぐ爆笑だった。正にエンターテイメントの極地て感じで、目に涙が出るほど笑ってしまった。
世界情勢とのリンクに関しては置いてきぼり感は拭えなくて、あえてこじつけるならばウイルスどうこうってのはコロナ禍を意識してたのかな、とも思わなくもないがもうここまでくればokです。
もはやロック魂すら感じたわ(笑)
 
あ、あと『ゴジラ×コング』の時に感じた「過度なサル要素接種問題」にウンザリするのではないか?という先入観があったがそういうのは全く感じませんで、これはこれ。あれはあれ。として別物として楽しめた。
あの『ゴジラ×コング』も個人的に好きな作品であちらの評価も高区レビューしてるんだけど正直こちらの方がやや軍配があがるかも。
正にApe shall never kill kongな作品である。
今回はDolbyCinemaだったので
次回はIMAXレーザーでもう一回観よう。
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