may

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版のmayのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「100万年も私たちを待っていたのね」

白いレースやフリルの洋服を着た可憐な少女たちと、雄々しく聳え立つごつごつの岩山。

岩山が太陽の光に照らされてきらきらひかり、視界が霞む。霞んだ視界は、世界を少しずつ幻想的に変容させるみたいだった。
そのうちに、彼女たちは狭くて険しい岩場のさらに上に上にと、誘われるように吸い込まれていく。

手袋を脱ぎ、靴や靴下を脱ぎ、ある者はコルセットまでをも脱ぎ捨て、彼女たちはどこへ消えてしまったのだろう。岩山へのピクニックは、彼女たちの羽伸ばしであるとともに、なにかからの解放であったのだ。一見アンバランスにみえた彼女たちと岩山だったけれど、ごつごつの岩山は、普段は隠れている歪な内面の表象だったりするのかもしれない、

彼女たちは、寮生活から逃げ出したのだろうか、誰かに誘拐されたり、殺されてしまったりしたのだろうか。物語は、結末を示さない。ただ、確実なことは彼女たちが「不在」だということだ。

ミランダは「すぐ戻るわ」と言い残し、そのまま手を振って、光の中に溶けていった。跡形もなく消えてしまって、どこにも、いない。


memo
・「ミランダは、ボッティチェリの天使だわ」
・「先生はズロースしか履いていなかったの」
・白鳥のモチーフ:レダと白鳥
・時折カットインする野生の動物たち

今年見た映画でいちばん好きだったかもしれない、映像が美しい。時折、不可視から可視に揺らめく彼女たちの欲望(?)が、野生の動物たちとかごつごつの岩山で表象されていたように思う、
may

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