このレビューはネタバレを含みます
2025/03/20 kino cinéma新宿
面白さ:5,好き度:4,物語:5,キャラクター:4,脚本・構成:5,演技・演出:4,映像・撮影・美術:5,編集・アクション:4,音楽・音響:5,革新性:4,合計:45
とても面白かった。
予想外に泥沼な争いを描く作品で驚いた。もっと宗教宗教している物語かと思っていたら、逆にお前ら宗教宗教してないじゃねーかが決め手というリアリティある皮肉。
物語上もビジュアル上も、爆発がきっかけに外の風と新たな声・音、情報が入ってくる。その後の演説合戦を経てベニテス教皇に辿り着く流れは希望を見る。
観客もキャラクターと一緒に外界から遮断され政治サスペンスを楽しんだ上で、爆発で現実に直面する流れが鮮やか。
ベニテスははじめの食前の祈りから持たざる者への祈りを捧げていたが、他の枢機卿はお決まりが終わるとアーメンしてご飯をたべようとするところから、普段から決まった定型文で祈りを捧げていることが露呈する。
この人間性がラストにしっかりつながっている。
随所の決め画は少し広角めで水平にその空間を捉える宗教画のような構図。爆発後にホールで話し合いをしたときの右斜めに向かう壇上の机と紛糾する枢機卿らの画が好き。
爆発直後、赤の舞台・白の煙・青の壁画というコントラストも、フランス国旗(自由・平等・博愛)よろしくな意味を持つとも受け取れる。