ヤンデル

シャイニングのヤンデルのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
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・原作のスティーブン・キングはこの映画が気に入らず、自身で再製作しようとしたものの、一度映画化すると映画化権が移ってしまうため、TVドラマとして製作した。

・オーバルックホテルの呪いは原作では過去の金持ち達の狂乱が原因のように描かれているが、映画では現地のインディアンからの搾取が強調されている。ウエンディがインディアン柄の服を着ていたり、ジャックが一人キャッチボールでインディアンの模様のようなところにボールをぶつけている。バーボンウィスキーも、原住民の主食であったトウモロコシを収穫し酒にしているという味方もある。

・前半で親子がオーバールックホテルに向かう車の中で話す「ドナー隊の遭難」の話は、親子で肉を食べるために殺しあったというエピソードで、その後展開の伏線になっている。

・舞台になったスタンリーホテルはほとんど外観のみ使われており、ホテル内のシーンはセットが多い。

・ホテルは当時「237号室は怖い」ということで237号室をなくしていたが、今では観光を呼び込むために復活し、むしろもともとはなかった植え込みの迷路も作っている(原作には植え込みの迷路のシーンはなく、植え込みで出来た動物が動き出す)。

・ハロランさんとダニーがシャイニングについて話すシーンは148回のリテイクでギネスブックに載っている。その他のシーンも大量のリテイクでキューブリックはキャストを追い詰めている。

・キングは幽霊がいるものとして原作を書いているが、キューブリックは幽霊を信じていないため、あくまで超能力「シャイニング」で「過去の痕跡が見えている」という立場で描いている。

・キングは主人公のジャックを自身をモデルとしており、教師をしながら小説家を目指しているが、アルコール依存で子供が原稿にいたずらをしたときに暴力をしてしまったことなどは自身の経験からとっている。

・そのため、ジャック・ニコルソンの狂気じみた演技や、幽霊に関する考え方の違いから、キングを怒らせることとなった。

・原作のジャックは幽霊に取り憑かれながらも自身の意志を残しており、ダニーに「愛している」となんとか伝える。また、幽霊たちを倒すためにボイラーを暴走させてオーバールックホテルを自らごと火事で焼失させる。

・ジャックが小説の執筆中にウェンディに起こるシーンは、ジャック・ニコルソンが脚本を書いていた経験から、アドリブで演じたと言われている。

・原作ではダニーのイマジナリー・フレンドのトニーは未来のダニーが過去のダニーに送るメッセージとなっている。

・ダニーが怪我をするシーンの前にジャックから「パパがいじめてもママに言わない」と約束させたことから、映画では幽霊ではなく父親の暴力だったかのように見える解釈になっている。

・ダニー役の子役は40日間しか撮影に参加できなかったため、一部のシーンは人形になっている。

・ジャックが237号室を訪れて女性の幽霊に会うシーンでは、ダニーはただ恐れているのではなく、ジャックに「それは恐ろしいものだ」というメッセージを送っている。そのため、老婆の恐ろしい姿に変わってそれに気づく。しかしこのシーンも酒を飲んだことが原因とも解釈できる。

・しかし、ジャックが倉庫の鍵を解錠してもらうシーンは幽霊が開けたとしか考えられない。これは観客を混乱させるために敢えて作ったシーンと考えられている。

・パーティーの幻影が見えるシーンはスピルバーグ「レディ・プレイヤー1」で再現された。

・パーティーのシーンの黒いドレスでキセルを持った女性はキューブリックの三女のヴィヴィアン。

・ジャックが割れたドアから顔を出す有名なシーンでいう「Here’s Johnny!」というセリフは、アメリカのバラエティ番組の決まり文句だが、ジャック・ニコルソンのアドリブで、アメリカに住んでいないキューブリックは知らなかった。

・最初のインタビューのシーンでオーナーが話す「グレイディ」とジャックがホテルで出会う幽霊の「グレイディ」は別人で、男が家族を殺すということを輪廻転生を繰り返している設定なので、幽霊のグレイディは事件について聞かれても「記憶がない」と話す。

・そのため、ラストのジャックが映る昔の写真のシーンは、同様の事件がホテルの呪いによって繰り返されていることを示している。

・キューブリックはキングに電話して「幽霊を信じているのか」を聞いたところ、キングは肯定したが、キューブリックは否定し、両者は幽霊に対する解釈が折り合わなかった。

・続編「ドクター・スリープ」では年をとったダニーが主人公になっている。映画化に際してはキングと話を重ね、小説版と映画版の折り合いをつける作品とすることに成功している。
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