このレビューはネタバレを含みます
いつもよりシリアス成分強め。普段は日常生活の傍ら殺し屋を生業としているだけのキャラが多いが、冬村かえでに関しては殺しに美学を感じるタイプで自分なりの殺し屋としての流儀を突き詰めることに重きを置いている。映画に出てくる殺し屋はそういうキャラの方が多いはずがだがこのシリーズに関しては完全に異物。エンジョイ勢の中にガチ勢を放り込むと対処できなくなってしまった感じ。冬村以外のキャラクターはいつも通り緩い感じなので冬村との温度差が激しい。冬村がサイコパスのように思えるが、よくよく考えれば殺し屋稼業をしながら普通に青春してる主役二人の方がサイコ感はある。今までは敵も含めてもともと強いから生活や成り上がりのために殺し屋をやってるキャラが多かっただけに、ひたすら自己研鑽で着実に強さを身に着けていく描写があるのは珍しかった。それゆえにキャラクターの強さに説得力があるし、イカレ具合もまざまざと感じられてシリーズの敵キャラのなかでは一番魅力的だった。それにしても池松壮亮は血のりが似合いますね…。
冬村の存在で日常パートが大分削られてはいたものの冒頭のシーンやらラストのシーンやら、随所随所に挟まれる主役二人のやり取りはいつも以上に絆を感じさせる描写だった印象。序盤で片割れが死にかけるシーンがあっただけに、二人で一人というどちらが欠けても成立しない存在であることを意識させるための描写だったような気がする。今までは日常パートと殺し屋パートは別物みたいに感じてたから、今作では明確にストーリー上の結びつきが感じられてまとまりがあってよかった。ていうかまだ二十歳だったんすね…。まあ1の時点で高校卒業直後だからそんなもんか。
アクションシーンは過去最高の出来。序盤の県庁内での冬村とまひろの肉弾戦は狭い廊下での戦いのときは自分に有利なポジションをとれるように体を激しく入れ替えたり、階段や段差などのギミックも利用してたりと単純な殴り合いだけではない面白さがあった。まひろが最後に敵と一騎打ちになるのはシリーズ恒例だが、今回はその前段階にちさとと共に戦うシーンがあったのが印象的。複雑な絡みが目新しく感じられたし、冬村が二人がかりでようやくなんとかなるレベルの強さというのが伝わってきてすごくよかった。ちさとのアクションシーンは今後ももっと増えて欲しいな。目新しさだけではなくどのシーンも殺し屋的な合理的で精密な戦い方がかっこよく、(具体的にどこがどうと言われると困るが)過去シリーズの中でも特にクオリティが高かったと思う。そういえば過去シリーズの話でいうと前作の兄弟についての言及があったのがよかった。かなり強い部類だったんすね。