doji

SUPER HAPPY FOREVERのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

SUPER HAPPY FOREVER(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

海外文学の短編のようであり、なんなら村上春樹の短編的な話だなと、日本映画ではなかなか感じられない質感が新鮮だった。シンプルな構成ながら、すでに失われてしまった現在を示したうえで、やがて失われてしまう関係性を描くことのきらめきのようなものがスクリーンに溢れていて、すべてが美しい時間だった。観終わってなにかが食べたくなる映画ってやっぱりいい。

失くしてしまったものっていったいどこにいくんだろうということはぼくもよく思っていて、彼女がいなくなってしまった世界で赤い帽子だけが残っている様子を観ていると、そんな想像を映像にしてもらえたような不思議な気分にもなった。誰かの喪失感が風景やものに宿ったまま、世界は普通に続いていくのだろうと思う。超幸せなことがずっと続くことなんてありえなくて、ありえないからこそ信じようとすることの哀しみ。その凡庸さをただ、美しい伊豆の太陽が照らしている。
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