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エリン・ブロコビッチのこなつのレビュー・感想・評価

エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)
4.0
2000年製作のアメリカ映画。実話に基づいている。この作品で主演のジュリア・ロバーツが、第73回アカデミー主演女優賞を受賞。

当時劇場で観ているのですが、今回はレビュー投稿のため二度目の鑑賞。

ジュリア・ロバーツの最高傑作と言われているだけあって、彼女の魅力が全開。スリリングな社会派映画で知られるスティーヴン・ソダーバーグ監督が、エンタメ性の強いスター映画に仕上げている。

ユーモラスな上司を演じるアルバート・フィニーの素晴らしい演技も見もの。

実話だけに真に迫る場面も多く、正義感と情熱だけを武器に勝ち目の無い訴訟に敢然と挑む主人公を演じるジュリア・ロバーツの存在感はとにかく圧巻です。

【あらすじ】

離婚歴2度で子供3人を抱えた無職のシングルマザーが交通事故に遭ったものの賠償金を取り損ねたことから、担当弁護士の事務所に押しかけ、働き始める。彼女は、胸元も露に超ミニスカートの元ミス・ウィチタ。無学、無職、貯金残高16ドルという彼女が、ある巨大企業による環境汚染の実態を知り、情熱と正義感で無謀な戦いに挑む。アメリカ西海岸を拠点とする大手企業PG&Eを相手取って訴訟を起こし、史上最高の和解金3億3300ドルを勝ち取った実話。


【ここからはネタバレ🙋があります】

モデル本人もウェイトレス役で主演しているというのを前回の鑑賞後に知って、今回そのシーンをしっかり観たいと注目。さすがミスコン優勝経験者だけあって綺麗。堂々として目力がある所など、ジュリア・ロバーツに雰囲気が似ていてこの役はやはりジュリア・ロバーツだから完成度が高かったのではと思わせた。

元々は、汚染のために身体の不調を訴える工場周辺の住民の家を安い価格で買い取り、苦情処理、証拠隠滅を図ろうとした企業の態度に反発した住民の訴えから始まった。

住民は企業から事前に安全性の説明を受けていて、まさか環境汚染によって病気になっているとは思っていない人が殆ど。

エリンは、自ら大学に赴き、工場内で使用しているクロムの身体に及ぼす影響数値を調べたり、地元の水質調査の書類を閲覧したり、こっそり工場敷地内に入って水を採取したり、、、それによってわかった恐るべき実態。PG&E社は、強い毒性を持つ六価クロムを使っていただけでなく、汚染処理をしていなかったので、土に溜まった有害物質が周りの住民の土地に広がっていた。

一緒に戦う弁護士だって「負けるに決まっている」と怖気付くような状況なのに、エリンは根気強く、一人一人の家を訪問し、話を聞き、住民の立場に立って調査する。気も強ければ押しも強い。人情家の一面もあるかと思えば、お堅い調査でも派手な服装とピンヒールという強気な態度。ジュリア・ロバーツが逞しいヒロインを迫力満点で好演。

エリンは、当時8歳、6歳、9ヶ月の3人の子供の母親。お金がない、働かなくてはいけない、誰に何と言われようと思われようと前に進むしかない。それなのにベビーシッターは当てにならず、彼女を助けて子供の面倒を見てくれた隣人の恋人も疲れて去って行く。それでも彼女をつき動かしたのは、自分より辛い立場にいる住民達を思う心と巨大な悪に屈したくないという正義感だったのか。恋人役のアーロン・エッカートが野性的だけど優しく、エリンと子供達を見守る複雑な心境を丁寧に演じていて素敵だった。

最後には634人の住民の署名を集めたことでこの訴訟に勝つことができ、事務所は大きくなりエリンも多額のボーナスを受け取った。そして彼女は現在アメリカ合衆国の環境活動家として活躍している。

胸がスカッとする痛快なサクセスストーリー、感動作です。
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