最近の映画記録、今日見た「HAPPYEND」のこと。
監督の空音央はこれが劇映画初作品。撮影監督やプロデューサーは主に在NYの外国人。
これ、今の「邦画」が諦めてるポイントをこれでもかと見せてて、良いショーケースです。
物語やドラマの評価はさておき、見て良かった。
舞台は近未来の日本。大地震の前震があったり、緊急事態条項の発動が示唆されたりする不穏な世情。
高校3年のユウタとコウは、クラブ通いをしたり享楽的な生活。彼らのイタズラをきっかけに、学校で監視カメラによるスコア制度と罰則が導入され…という流れである。
まず、マスターショットがフィックスの良いアングルでバシっと決まっている。カラコレや照明もちゃんとしていて、ロケで自然光撮って出しみたいなヌルい絵はない。
高校生たちのナマっぽい芝居もよく出来ているし、アイドルキャスティングもしてないし、大変立派である。
主人公たちの通う高校は「新制」の公立高校という設定。学級の1/3〜1/4くらいが外国籍やマルチルーツのようで、かなり多様性に富んでいる。(設定上は都内だが、ロケ地は神戸のようだ)
こういうディテール、メジャー映画だと通らないだろうし、インディーだと面倒でやらないよね。
描かれる日本の政情や、主人公が参加する社会運動などは、ややリベラル寄りな描写。
自分から見ればとても抑制的な描き方だが、人を選ぶかもしれない。
正直ストーリーやドラマの薄さは気になるが、
既存の邦画の型の「外側」がまだまだあると見せてくれた事は大変素晴らしい。