最近の映画記録、TIFFの7日目にみた「士官候補生」のこと。コンペの一本で、カザフスタン映画。
そこそこ良かったのだが、期待ほどではなかった。
冒頭、セリックという少年とその母アリーナが、辺鄙な場所にある士官学校を訪れる。
(架空の国のように描いている)
この母は士官学校に赴任した歴史教師で、息子をこの学校に転入させる。
セリックは前髪を伸ばした女々しい風貌で、さっそく初日にいじめられ、校長にも見放され退学。
若くて美しい母アリーナもパワハラにあって散々な事が一日で起こる。
ところが…という導入。
実はセリックの父は軍のカリスマ将軍で、まあ庶子というやつ。アリーナが将軍に伝言を伝えると、再入学がさっそく認められる。
だが、士官学校ではセリックの入学後、学内で人が死に始め…という展開。
自然光の撮影、無機的な学内と曇天、ローコントラストな画面。
カラコレで彩度も抑えていて、なんとも不穏かつディストピア的な印象である。
前半は士官学校のディストピア感とナンセンスさが際立つ。
教師のモットーは「我殺す、故に我あり」だよw
後半、殺人事件が前面に出ると、プロットは少し迷走。
ホラー映画的になってくる。
ホラーのジャンル映画的な記号(怨霊的イメージ)が出てくるが、この演出はイマイチ。
さらに国防相の調査官が刑事役よろしく出てきて、サイコスリラー感。
正直、後半よりも、前半のジャンルが確定しない感じの方が面白かった。
絵や音は良いし、面白い着想の作品なので惜しい。