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野生の島のロズのnekokatzのレビュー・感想・評価

野生の島のロズ(2024年製作の映画)
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最近の映画記録、今日みた「野生の島のロズ」のこと。
DolbyCinema字幕版を鑑賞。

クリス・サンダース監督で、米国の児童文学の映画化。
基本的にはよく出来ていて、子供でも大人でも楽しめると思う。
今ひとつな部分、色々考えさせられる箇所もあり。

嵐で無人島にコンテナが漂着し、その中のロボット「ロッザム7134」を動物が起動してしまう…という導入。

このロボット「ロズ」は、やがて孵化したばかりの雁の子供に親と思われて、という流れ。

CG美術に、赤黄系の色相を意識的に盛って、彩りある画面にしている。

監督のフィルモグラフィを見ると、「異種婚姻譚ーロマンス=?」というテーマをずっとやってるのが分かる。ヒックとドラゴンは異種バディだし、今回は異種親子譚。

だが重要なのは、主人公がヒトでなくロボットで、今作に人間はほぼ出て来ないことだと思う。

自分はライオン・キング的なトーキングアニマルの異種動物仲良し描写は好みでないし、そこにターザンみたいに人間が入ると「ヒトの特権的描写」がノイズになるのだが、
その問題がロボットだとかなり緩和される。

今作序盤ではトーキングアニマルについても面白い理屈が。
このあたりはアイデア賞だと思った。

また、今作の基本構造は「白人酋長モノ」で、その点では「アバター」と変わらないのだが、

これもやはりヒトではない事と、酋長=リーダーではなく「ケアする者」である事が、かなり違いを生んでいると思う。
ここは新しいと思った。

この「ケアするロボット」のイメージは、ラピュタのロボット兵から来ているのだろう。

また、先行例のベイマックスとの違いは「ゼロからケアテイカーになる過程」を描いていること。

人間だと「母性とは」みたいな話になるが、ロボットなら許容できる面がある。

と、全体としては「人間でやるとイヤらしい話になりそう」な話を、ロボット主人公で上手く回避した、クレバーな映画だと思った。

物語面では、プログラムと本能、不適応と疎外などなど、テーマやモチーフは豊富だが、終盤にそれが一つに収束するかというと、そうでもない。

展開はやや直線的で、中盤以降は主題がどんどん移り変わる。キャラ中心の見せ場が多い印象。

最初に提示したドラマを最後までやる「ヒックとドラゴン」とは語り口がかなり違う。

音響や劇伴について。悪くは無いんだけど、もう一声欲しい感じ。ロズの声などキャストは良かった。

まあいろいろ書いたけど、
「自然の中で動物たちに囲まれて、朽ちていくロボット」というイメージのエモさを味わう映画だと思うし、
その意味ではビジュアルもアニメーションも大変良く出来ていますよ。
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