てるる

CURE キュアのてるるのレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
3.8
「僕はあんたの話が聞きたいんだ」
それは治療・治癒なのか。

高校生の頃に姉や弟と一緒にVHSで鑑賞し、不気味さとワケの分からなさで困惑したサイコホラー。

僕は当時から「MONSTER」とか「多重人格探偵サイコ」などのマンガを読んでいたり、グロホラー観てたので猟奇殺人には耐性があったけど、姉は気分悪くなってたな…。

でも「サイコ」とこの映画が同時期に発表されていたというのは興味深い。
その頃には「マーダーケースブック」が流行ったりもしてて、世の中に猟奇殺人というものが浸透してきた時期でもあった。

催眠術というよりも洗脳。
人間の倫理観を破壊し、殺人を犯させる。

記憶を失くしたと主張する間宮。
その手口は朧気で、明確な証拠もない。
しかし高部は間宮が真犯人だと疑わない。

そして間宮と接見するうちに、高部自身もじわじわと侵食されていく。

この殺人の何が恐ろしいかって、殺人の直前まで何の兆候も見せないこと。
ある意味ゾンビとか、最近観た「哭悲」なんかは変化が分かりやすい。

今の黒沢清はアレだけど、この頃の作品は撮り方、ロケーション、演出、どれをとっても人の不穏感と不安感を煽るのが上手い。

特に昔の映像なんかは、「リング」の映像並に不気味すぎる。

人間は理解出来ないことを恐れるという根源的な恐怖を、映像の中にきちんと落とし込める監督だったなと。

そしてよっぽど相性が良かったのか、この後から何度もタッグを組む役所広司。
精神を患っている妻を持つという、一線を超えそうな役どころを上手く演じてる。

萩原聖人はちょっと若くて窪塚っぽい。
確かこの頃は新進気鋭のイケメン俳優だったような記憶。

そして1度観ただけでは分からなかったラスト。
ここからが真の恐怖なのかもしれない。

以下、ネタバレ












精神科医役のうじきつよしが壁に❌を描いて、高部に「お前、間宮に会ったな?!」て言われた時の絶望感。

精神科医ですら取り込まれちまったのか…。

ラストは高部が看護師に奥さんを殺させたってことよね?

そしてレストラン。
よく見ないと分かりづらいけど、ウェイトレスが刃物持って誰かに襲いかかろうとするシーンで終わる。

しかしそんなに長く話してないだろうウェイトレスを洗脳するって、間宮よりもパワーアップしてない?!

しかも刑事だからなかなか捕まらないだろうし、最強じゃない?!

しかし何故、間宮が高部を後継者、伝道者にしようと思ったのかは謎。
間宮が言ってた特別ってのは何だったのか。
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