ブタブタ

マトリックス リローデッドのブタブタのレビュー・感想・評価

4.5
『帝国の逆襲』『最後のジェダイ』等、三部作の真ん中って基本「バトル編」で次に丸投げ出来るからある程度の投げっぱなしが許されると思う。
だから作ってる人達は楽しいだろうな~と思う。
大量弾丸止め、百人組手、ビル・スロー落下銃撃戦やスタンドみたいになる双子格闘家等など盛り沢山。

完結編への「つなぎ」である本作はストーリーや整合性をある程度無視しても、やりたい事や好きな事をこれでもかと詰め込んだ内容だと思う。
追跡とバトル、基本コレだけ。
それと合間の小難しい話し。
大量の情報と哲学的言説と禅問答とカンフー・カーチェイス・超能力バトル。
兎に角すごい情報量。
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』の電脳世界は現実と仮想世界の区別がなく、スラングと専門用語と造語の嵐で何が起こってるのか殆ど把握出来ない。
読んで理解するのでなく文体やその流れや大量の情報に身を委ねるのが正しい読み方らしい。
まさにブルース・リーの「考えるな。感じろ」

「フランス語で罵る言葉はまるでシルクでケツを拭く様だ」ってセリフがあるのですけどフランスで思い出したのはフランスの前衛実験文学の作家アラン・ロブ=グリエとウィリアム・ギブスンの関係についての評を読み、ロブ=グリエの実験小説・アンチロマン(反小説)は簡単に言うと人物の心理や感情みたいな物を排してひたすら情景や行動や「客観的な事物描写の徹底」する事でストーリーよりもそれを読む人間が登場人物と同じ体験や目線になる、一種の世界の再構築と言うか、これって正に「投入(ジャックイン)」だと思ったりして。
この二作目『リローデッド』は映像化不可能と言われる『ニューロマンサー』の映像化に可也近い事をやってると思いました。
なので三部作中一番好きです。
ブタブタ

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