脚本の倉本聰(89歳)が長年温めてきたという劇場新作をさっそく鑑賞。
もしもオリジナルの名画を凌ぐ贋作があったなら、その美術的価値は? 美の基準とは?というテーマは面白いんですが・・・
展開と各キャラの描き方がベタな上にかなり乱暴。
正直なところ、過剰なロマンティシズムとダンディズムにちょっと辟易・・・残念。
もちろん倉本聰だから面白いシーンやセリフもいろいろとあるんですけどね。
この内容だとTVドラマで4~5話くらいにしたらまだよかったのかも。
主要キャラの設定も盛りすぎで消化不良。
2時間弱で主要キャラたちにこれほどの過去を背負わせようなんて無茶な話。
主役のモッくん演じる孤高の天才画家なんて、なんと○○○でしかも×××でさらに△△△の悲劇のヒーローなんて盛りすぎでしょう。
しかし本作でぶっちぎりのカッコつけ大賞は、主人公の謎のパトロンであり実は腕のいい□□□という過去を持つ中井貴一。“あんた何様?”感がかなり不快なキャラでした。
主要キャストを年齢順に並べると、
石坂浩二(83歳)
佐野史郎(69歳)
村田雄浩(64歳)
中井貴一(62歳)
仲村トオル(59歳)
本木雅弘(58歳)
小泉今日子(58歳)
清水美沙(54歳)
萩原聖人(53歳)
錚々たる顔ぶれですが、皆さんももうけっこうよいお歳。
強い想い入れも連続ドラマだと多くのエピソードがオブラートになりますが、単発だとストレートに出すぎてしまうのか。
年寄りの説教を黙って聞くしかない居心地の悪さというか、なんだかもったいない感じ。
監督は『沈まぬ太陽』『空母いぶき』の若松節朗。