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土を喰らう十二ヵ月のHKのレビュー・感想・評価

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)
3.7
先日、追悼ラッシュと書いたばかりなのに、今度は火野正平(享年75歳)の訃報が。
今年始まった『鬼平犯科帳』の新シリーズではレギュラーメンバーの一人で劇場版1本(『鬼平犯科帳 血闘』)とTVドラマ3本でバリバリ現役の姿を見せてくれており、来年2月には4作目の放送も決まっているのに・・・

火野正平といえば私は時代劇の印象が強く、必殺シリーズの常連でもあり、中でもシリーズ最高傑作『新・必殺仕置人』の“念仏の鉄”こと山崎努との「正ちゃん!」「鉄っちゃん!」の掛け合いが忘れられません。
追悼作も時代劇でと思ったんですが、新・鬼平の劇場版はレビュー済だし、TVドラマ版もレビュー済みの『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』以外はなぜかfilma検索しても出て来ません。仕方ないので比較的近年の出演作の本作を選びましたが、なかなか楽しめました。

作家の水上勉の料理エッセイが原案で、長野の山奥で暮らす老作家の自然と旬の食材に囲まれた十二カ月間が描かれます。
監督・脚本は『ナビィの恋』『ホテル・ハイビスカス』の中江裕司。

主人公の作家役に沢田研二(当時74歳)。
火野正平(当時73歳)は主人公と親しい近所に住む大工(役名も大工)。
主人公の亡くなった妻の母役の奈良岡朋子(当時93歳)も本作が遺作とか。
主人公が昔世話になった禅寺の住職の娘に檀ふみ(当時68歳)
キャストで一番若いのが雑誌の編集者役の松たか子で当時45歳。
他には主人公の義理の弟夫婦に尾美としのり(当時56歳)と西田尚美(当時52歳)。
いつの間にかみんな歳をとりましたねえ。

そういえば新・鬼平は松たか子の実の兄の十代目松本幸四郎なので火野正平は兄妹ともに近年共演していることになります。
そして、終盤の主人公が料理をしながら口ずさむ『鉄腕アトム』の主題歌の歌詞を書いた谷川俊太郎もつい先日亡くなりました。やはり最近訃報ばかり。

私もいずれ、朝になっても目が覚めないときのために、毎晩「みなさん、さようなら」と言って眠るという境地に達したいものです。
それにしても本作の質素な自然食材の精進料理がどれも美味そう。
おコゲたっぷりの犬用ご飯もとても美味しそうでした。
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