明石です

殺しの明石ですのレビュー・感想・評価

殺し(1962年製作の映画)
4.0
郊外で娼婦が死体で発見され、犯人をめぐり地元の不良少年や、ヒモの男を次々に尋問にかけるも、それぞれの証言が食い違い、犯人像を絞ることができない。誰が犯人なのか、あるいは本当に犯人はいるのか。

のちに『ラストエンペラー』を撮るイタリアの巨匠ベルナルド·ベルトルッチが弱冠21歳で撮ったデビュー作。詩人の父親がパゾリーニと個人的親交を結んでいたために、パゾリーニのデビュー作『アッカトーネ』で助監督を務め、翌年に、パゾリーニ原案のもと撮影された模様。娼婦の殺人事件を盾に取りつつ、都市部の荒廃と貧困を扱った社会派な作風で、正統派サスペンスなのに血生臭さは感じない。むしろ、あっけらかんとした清々しさに底知れない狂気が感じられて好き。

物語の構成としては、黒澤明の『羅生門』のように(正確には芥川龍之介の『藪の中』だけど、そんなことを言う人はモテん)、誰が真実を語っているのかわからない構成で話が組み立てられ、また、手持ちカメラを自由に動かしロケ撮影に挑む感じもめちゃくちゃ羅生門。殺人に関わった登場人物が、皆で典雅なダンス音楽に合わせて踊り大団円を迎えるシーン、どこかで見たことあるなあと思ったら、『ソドムの市』だった、、笑。
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