ベルトルッチがわずか21歳で手掛けた長編デビュー作。
河辺で街娼の死体が見つかる。彼女は死ぬ直前に夜の公園にいたらしいので、その場にいた人々がアリバイを語る。
とはいえ、語られる内容は大した話ではなく、ミステリー要素も希薄で、思っていた以上に退屈な映画だった。
兵士の青年が雨の中、高架下に座っていたら、そこに女たちがぞろぞろ集まってくる長回しとか、憲兵の捜査から逃れる少年たちのロングショットとか、印象的なカットはあれど、後のベルトルッチを踏まえると、かなり地味な印象。ネオレアリズモとヌーヴェルヴァーグを足して2で割ったような、中途半端な作風だった。
出てくる人々は高利貸しの女とそのヒモ、コソ泥で食いつなぐチンピラ、ナンパに失敗して公園で寝る若い兵士、女の子の気を引くために盗みを働こうとするクソガキ2人など、揃いも揃ってパッとしないローマの下層市民ばかり。河辺で街娼が襲われて掻っ払いに遭う、というシチュエーションは「カビリアの夜」を思わせるが、実はどちらもパゾリーニが脚本に加わっている。
だからだろうか、本作の10代の少年たちがコートを盗む中年男とのやりとりは、どこかホモセクシャルな雰囲気を強く感じさせるし、貧乏人ばかり出てくるのもパゾリーニっぽい。
まあ、これを21歳で撮るのは素直に凄いとは思った。力作。