鹿苑寺と慈照寺

ファーゴの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
3.8
借金返済のために企てた妻を誘拐するという偽装工作。1つのミスが思いもよらぬ悲劇へとひた走る。

妻の誘拐を企てるジェローム。彼の妻の実家はお金持ちで、ジェローム自身も義父が社長を勤める自動車販売代理店で営業部長をしている。これだけ書いてみても、「ああ、義父のコネで営業部長になったんだなあ」と窺える。もちろんその点は描かれていないが、義父のジェロームに対しての評価は徹底的に低いからコネということで間違いなさそう。ジェロームを見ていると、「こいつ、仕事できないなあ」と思えてならない。お客さんの信頼はまったく得ていないし、そもそもできるヤツならあんな馬鹿げた誘拐偽装なんてやろうとしない。僕に「仕事ができない」烙印を押されたジェロームは取引先との電話で「明日の午後までに届かなかったら」と言われ、「もう送ったよ」と言う。絶対送り忘れてるやん。送り忘れてて慌てて「送った」って嘘ついてますよね?あの電話のあと慌てて送ってますよね?もう送ったのならば届いているはずでしょ?ジェロームは仕事ができないという視点で見ていたからこんなところまで勘ぐってしまった。邪推かな?

とにかくジェロームは自分を取り繕うために嘘をつく。作中で嘘をつく人物は他にも出てくるし、偽装誘拐の実行犯はとにかく金に目がくらむ。そんな実態のないものにばかり目を奪われ、本当に大切なものを見失う哀れな人たちと対照的に、事件を追う警官のマージは産まれてくる子供と夫、そして生活を大切にする。その対比がとても良かったし、マージ夫婦の日々の生活がちゃんと描かれているところが好きだった。事件があり早朝に呼び出されたマージのためにちゃんと起きて朝食を作るノームの優しさもめちゃくちゃ良かった。

以下は個人的なメモ
-----
「娘と孫は食うに困らん」

マイク・ヤナギタ

仕事のできない奴だな。

「背が低くてヘンな顔を」
「どんな風に?」
「全体的にヘンな顔だった」
-----