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アイヌプリのmarimoのレビュー・感想・評価

アイヌプリ(2024年製作の映画)
3.7
現在進行形のドキュメンタリーです
1899年「北海道旧土人保護法」が施行されたことで、アイヌ文化はこの日本政府の同化政策によって失われていきました
アイヌ民族に対する差別は、
1997年「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」に置き換えられるまで続いていました

アイヌの人ですらアイヌ語を話せる人は1%にも満たないと言われています

アイヌの文化を残すための継承ですが
文化をアーカイブすることは出来ても
失われた文化は戻ってこないということ

時代の変化と共に文化は変わる
でもアイヌ文化は変わって失われたものでなく消されたもの

残された文化や思想の継承はできるが、
すでに失われてしまったは戻ってこない

現在では狩りのために役所への申請が必要
一方でアイヌの青年は、漁業で大量の魚を捕まえる
文化を守ることと生きていくことは同じベクトルにはなっていない

本作に出てくる子供の学校では「アイヌでカッコイイ」と言われる事もあるらしい
マンガやアニメの影響なのか文化継承に進むことは良いが過去の真実にもちゃんと目を向けてほしい

で描かれるアイヌの姿が中心で
これもまた美化された失われた文化なのかも知れない

漁業で生活するアイヌの青年がパチンコをしている姿が記憶に残る
現代においてはアイヌ民族だからといって何も変わらない
時には不摂生な生活を送るときだってある
それは民族ではなく、人としての話

本作ではアイヌの人を美化して描くわけではなく
現在のアイヌの人たちの生活をそのまま映し出している

冒頭での捕まえたサケの頭部を棒で三度叩くシーンに衝撃を受ける
慣わしだとしても残酷すぎる
苦しませずに絶命させる事こそが倫理的には正しいように思える

ただ本作を通して見たときに終盤でのこのサケに対する行為には見え方が変わってくる

無意識に命を食している我々が、その行為の残酷性をとやかく言うことができるのか
命を奪う仕組みの中では命を頂く事への感謝もなければ、命を奪う際の痛みも知らない

生きることは残酷で
命とは痛みや苦しみを伴うもの
そんな自然界の法則の中に寄り添う生き方があったことを知るきっかけになる作品

「悪は存在しない」を観た時にも感じた自然との距離感

全然関係ないけど、なぜか自然に寄り添う生き方をしている人たちの喫煙率が高い気がする


〜旅先で映画館〜
名古屋の伏見ミリオン座
名古屋駅から電車で一駅のミニシアター
名古屋初日に行ったセンチュリーシネマと同じ系列

劇場の名前から昔ながらなミニシアターを想像していたのですが
ミニシアターというよりは、小さめのシネコン
かなり綺麗な劇場です

傾斜もしっかりとしていて鑑賞環境としては快適です

1Fにはカフェミリオンがあるので
少し早めの到着でもゆっくり待てます
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伏見ミリオン座
アイヌプリ
2025/01/05
12:00〜13:27
劇場:②
座席:D-6
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