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サンセット大通りのmoryのネタバレレビュー・内容・結末

サンセット大通り(1950年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

男は何故プールで死体となって発見されたのか?ハリウッドで成功を求めたもの達の悲喜交々の物語。
 
兎にも角にも狂気的なまでに「誰かに記憶され、求められていたい」と欲望し振る舞う過去の亡霊となった女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン )が魅力的で印象的でした。

普段感想を書く時は自分の気持ちに向き合いたいので情報サーチは控えているのですが、好奇心に負けてノーマ役の人についてだけ調べてしまいました。うわー…この役って、バードマンにおけるマイケル・キートンのような半自伝的なものだったのですね。そりゃ熱演な訳です。ラスト、殺人容疑のインタビューでカメラに囲まれる中で恍惚な表情を浮かべる様はある種壮絶でした。

シナリオが非常によく練り込まれていると思いました。あえてプールの死体から始まるところ、ノーマ邸に辿り着く前によくわかる主人公の立場や考え方で序盤にがっしり掴まれ、中盤はノーマ邸の怪しさに魅了され、終盤は製作・栄枯盛衰の苦悩と悲しみを感じさせられました。筋がしっかり通った良いものを見せていただけました。
 
ただ、映画の本筋じゃないところでどうも気持ちが冷めてしまって…本筋じゃないところ気にするなよって話なのですが、シェーファー嬢が他の男と婚約しとるのに(しかも自分から望んで)、解消前にギリス氏と新たな関係を持つ展開…ほんと地雷…です…。他の人好きになっちゃうのは仕方がないけど、関係持つのは婚約解消してからにせいよという気持ちになります。
 
相手取っ替え引っ替えみたいのがどうにも苦手なので、ロマンス映画の履修がほんと進みません…。

ノーマが凄かった一方、実は本作で1番狂ってる(褒め言葉)のは付き人かつ元夫のマックス。別れても尚ノーマの側にいて彼女のために膨大なファンレターを書き続け、新しく恋人「役」として選ばれたギリスの面倒を見るってどんだけよ…いいぞ…そういう狂気、もっと浴びせてくれ…。
 
ノーマは結局ギリスのことを愛してはおらず、自分が忘れられていないことを確認するための観客として手元に置いておき、「私はこの人を愛している」という役を演じていたのだと解釈しました。

ノーマはサロメを元にした脚本を書いており、ノーマがギリスを最期射殺するところはサロメに通ずるものがありますが、サロメ自体も色々な解釈ができますよね。皆さんの感想で解釈を読ませていただくのが楽しみです。
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