岩井俊二監督の長編映画第一作目。これが初めて作った映画というのが驚きである。完成度が高すぎてビックリ。すごい監督だなー。
予告もあらすじも見らずに鑑賞すれば、まず前半の物語に置いて行かれる。意味が分かり始めてからはもう釘づけになってあっという間に終わるといった印象。これが監督が意図的にやっている演出なら本当に素晴らしい手腕である。
主演の中山美穂さんも二人一役を見事に演じ切っている。全く同じ顔なのに別人と言われても何ら違和感がない。若い豊悦も見もの。
小樽の雪景色の中でストーリーが進んでいくんだが、とにかく美しい。雪景色だけでここまで美しくなれるんじゃなくて、監督の感性あってこそのものかもしれない。岩井監督独特の光の入れ具合と見事にマッチしてあの風景が出来上がっている。
一つの手紙を巡って、一人の男性を巡って二人の女性の淡い恋心が描かれる。二人の心情を平行して描きながら、時に交錯させる。見事なプロット。邦画監督では間違いなく一番好きな監督。
