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シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼 幸四郎版

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シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼 幸四郎版の作品紹介

シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼 幸四郎版のあらすじ

いつとも知れぬ戦乱の世。 その島国には《オボロの森》があり、古い神はそこで《魔物》になるという。 深い森の中、飢え乾いて眼をぎらつかせ、野良犬のごとく屍の山を漁る男が一人。 その名は《ライ》。 我欲をむき出しにして舌先三寸、女や金を騙し取る日々。 今は落武者狩りで屍から金品を奪っていた。 そこへ聞こえる、轟々たる水音。 分け入った先には巨大な滝と無数の髑髏。 そこに現れる《オボロの魔物》。 悪の素質を見込んだか、魔物は《ライ》の奥底にある 欲望を呼び覚ます。 それは、この国の王座を我がものにすること―― お前の生き血―― 命と引き換えにこの国の王座を与えよう 思いがけない運命の変転に奮い立ち、 条件つきで魔物と契を交わす《ライ》。 俺が俺に殺される時が来たら、おとなしく命をくれてやる 魔物が与えた〝オボロの剣〟は、《ライ》の舌に合わせて動き、人を斬っては赤い血の雨を降らす。 血の雨はこの世を嘘に染め上げ、《ライ》の嘘に心を射抜かれた人々は、その思惑に絡め取られ滅ぼされてしまう。 現世を地獄に変えてのし上がり、ついに王座に手をかける《ライ》。 だが、それこそが破滅の始まりだった――。

原題
公式サイト
https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/2850/
製作年
2025年
製作国・地域
日本
上映時間
202分
配給会社
松竹

『シネマ歌舞伎 歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼 幸四郎版』に投稿された感想・評価

桃龍
3.0
逆『国宝』。
“血”に関係なく、女性も出す「いのうえ歌舞伎」の演目を、400年の歴史を持つ本家の歌舞伎でやっていいの?
劇団☆新感線の『阿修羅城の瞳』『アテルイ』『髑髏城の七人~アオドクロ』そして『朧の森に棲む鬼』での松本幸四郎の客演とは違い、これは新橋演舞場での歌舞伎そのもの。
だから女性は出ないのだが、歌舞伎の女形が劇団☆新感線の女性陣に明らかに負けてる。いいのか?
同じ演目だから、見比べると優劣がハッキリする。歌舞伎ならではの宙乗りも、大昔の客は驚いたかもしれないが…。
オリジナルの2007年劇団☆新感線版は、ゲキ×シネで一昨年末に鑑賞して感激、満点の5点を与えた(2024.12.29 レビュー)。

シェークスピア劇の『マクベス』と『リチャード三世』を下敷きにしながら本邦の頼光四天王 a.k.a 酒呑童子伝説と綯い交ぜた見事なピカレスクロマンであり、まだ襲名以前だった当代幸四郎が歌舞伎の枠にとどまらない俳優力の真価を見せつけた名舞台だったからだ。

数ある、中島かずき/いのうえひでのりコンビによる「いのうえ歌舞伎」シリーズのなかでも傑作だと思うが、2024年、17年ぶりの再演は幸四郎プロデュースの《歌舞伎NEXT 》として歌舞伎俳優たちによって演じられることとなり、主役も幸四郎と松也のダブルキャスト。

そのどちらもが当月、《シネマ歌舞伎》として上映される。

実演の機会を見逃したのを残念に思っていたので、またとない機会で、今年の初シネマ鑑賞となった。

正直、歌舞伎版とは言っても、ほとんどオリジナルに大きな手は加えられていないと思われたが、これも毎回思わされることだが、歌舞伎俳優たちもオリジナルの戯曲としての面白さを上手くこなしていた。

ただ、やはり、阿部サダヲ、古田新太、高田聖子、粟根まことetc.といったオリジナル版のキャストの魅力に比べてしまうと、アテ書きによるハマり具合による爆発力は失せてしまった部分も感じ、感銘の度合いがやや少なくなったのも正直なところ。

また、オリジナル版のゲキ×シネが174分だったのに対して、本作は202分と30分近く尺が伸びてしまっていることも、間延び感をもたらしたようにも思う。

ただ、本作で見逃せないのが、オリジナル版では真木よう子の役だったシュテンを演じた市川染五郎の美貌と好演の素晴らしさだ。

弱冠20歳の当代染五郎だが、世間的には襲名当時に騒がれた線の細い美少年のイメージがまだまだ強いと思われるが、このところ歌舞伎座の本舞台で毎月のように大きな役に挑戦して、いずれも好成績を上げている。荒事を含む男っぽい力強い役もしっかりこなしているのだ。

本作におけるシュテンは、オリジナル版が女優によって演じられたように、メイキャップや衣装も中性的な美しさを引き立てるもので目を惹くが、実の父が演ずる悪王ライの巨大さを前にしても一歩も引けを取らずに堂々と自分を押し出しているのには感心するしかない。

なかにはメイクが強過ぎて誰が演じているのか判別できない役もあったが、エンドロールで、どうやらそれが尾上松也が化けた姿だったらしいことを知った。

まだ信じられないので今後、何らかの機会に再確認したい。
5.0
歌舞伎版を観に行った時の感想です!
2024年の年末に観て、その年に観た全エンタメの評価を塗り替えた圧倒的No.1。
シネマ歌舞伎版は松也版を観たので、シネマ歌舞伎としての感想はそちらに。

ストーリーは基本的には新感線版と同じ。何となく、誰の役かなと分かる程度には、『阿弖流為』よりも新感線のコント感がまんま残っている。
前半は特にコメディの要素が強くて、めちゃくちゃ笑った。もう少しシリアスな方が、、、という意見もあったけど、新感線ファンの私としてはこのくらいが楽しい。後半はがらりと変わって、まだやるかという怒涛のしんどいシーンの応酬。心がはち切れるよ、辛いよ。

宙乗りから、カーテンコールまで拍手が止まらなくてずっと手が痛いレベル。それでも痛いの麻痺するくらいずっと拍手したい、それくらいの満足。大満足。
全キャラ好き、大好き、好きすぎる。

☆キャラクターについて
※ネタバレも含みます。

・ライ:松本幸四郎
新感線版からなんと17年。そっちでは阿部サダヲのキンタが好き過ぎたので、今回も再演とはいえやっぱりライは幸四郎が良いなくらいの気持ちでいたら、あまりの凄さに、後半ずっと圧倒されていた。初期のずる賢いだけで野良のライから、ぶくぶくと膨れ上がった欲望の魔物になるまでが刻と演じられていて、ボロ布から、検非違使の黒青衣装、黒にインナーが赤になり、だんだんとリチャード3世のように赤と金をベースにしたゴテゴテした衣装に変わって行く。
初期ライ、滑舌も声量もそんなに良くなくて、でもだんだん、まだいく?まだいく?というくらいはっきりとした声、叫びが増していく。え、この人バケモンなん?後半になってからの方がむしろ生き生きしていて、どんなに派手な衣装を着ても、衣装に着られない。どこまでもでかい虚を身に纏う。最初が嘘みたいに品があり、賢く、悪い、どこまでも悪い。怖いと感じる。
なのにどこか悲しい。いつまでも満たされないような哀しさ。
キンタボケのツッコミくらいしかコメディには加わらなかったのに、後半身分が低い頃にネタとしてやられたことを仕返したり、同じフレーズを用いてボケたりするのが余計怖いのよ。でも悪の中のチャーミングさというのも感じられるのよ。「3人しかいないけど」とかね。器のデカさと余裕。どこまでも美しい悪の華。シキブを落とした時の意図的にやってる悪い顔、でも後半は立ち姿からだけでも悪のオーラが漂う。肉眼ではうっすらくらいだけど、青色のラインが入ったり、口角か下がっているように黒を入れていたり、化粧にも工夫が。改めてパパもいいお顔だなと、思うのに、それがずっと影。そうだ染様の新感染は色気がすごいんだ。言葉にするとそういうことにまとまってしまうけど、それを敢えて書くのなら色気。
川原監督との殺陣をこなした上で、シュテン戦、そしてそこから怒涛のツナ・マダレ戦、withキンタ戦。まだやるかと刀を振り回し、叫び、走り回る。重たい衣装を着て、何度も立ち上がるのも辛かろうが、ライの執念と相まってそれを全く感じない。ツナかな?階段のところで足を引っ掛ける仕草をして、そのままライが前面に突っ伏すようにこけるんだけど、足をかけるのはフリなのに本当に転んだみたいにこけるの。痛い痛い痛い。51歳凄い体力だな。さらにそこから落武者戦、打ち水、水の上にもバッシャン全身ずぶ濡れで、足を入れ替えるコサックダンスみたいな。私ならあの動きだけで無理なのに、ここまで約3時間からの水場。化け物だ…
結んでいた髪が外れ、落ちた髪が頭を覆い尽くして、前も見えないのに、まだ生きようと髪の隙間からこちらを睨んでくる。
大立ち回りで水に飲み込まれ終わりかと思ったら、そこからさらに着替えて衣装直して、なんと宙乗り。
カーテンコールには後半初めくらいのライの姿までお着替え戻って出てきたときは腕が飛ぶくらい拍手しましたよ。今回は私はライでした。あのライでした。魔物に飲み込まれてしまった哀しき欲望の怪物に、心を奪われてしまいました。

・サダミツ:尾上松也
ダブルキャストのまってぃ。こんなん1日2公演は無理。松也がライをやると多分、前半が似合って、後半がどうしてこうなってしまったんだとさらに悲しさが増すと思う。他のキャラクターも魅力的だから、ちゃんと憎めない気がする。松也ライも気になるけど、私の思うライ像では今回の選択で正解だと思ってる。人間が鬼に落ちたというより、神を無くした戦乱の世が生み出した悪の塊のほうがまだ見ていられるから。
で、まってぃのサダミツ。ずるいよう、このサダミツ観るためにもう一回観たいくらいだよ、ずるいよう。
けーけっけっけっ、って何度も笑う笑い方で、笑わせてるのかと思ったらそれがモノマネ鳥の伏線なのかよ。というかまずそのメイクはなんだ?過去の新感線の時の写真見たら全然まともじゃん。
出番自体はそう多くないサダミツだけど、ライの罪をオオキミの前で暴いてやろうとする一幕がとにかく面白過ぎる。これはもう歌舞伎じゃなくて新感線。というかサダミツの独壇場。
まだ初期ライなので、どうなっちゃうんだろうと観客に一抹の不安を抱かせつつも、ライの知恵が想像の1枚も2枚も上手だと、サダミツの悲劇によって感じさせる。鳥とオオキミの間をドタバタと走り回る滑稽さにはずっと笑っていられる。ほっぺ疲れたよ。アラドウジだけでなく、マダレまで加わって、みんなが仰々しい芝居で追い詰めていくの全部面白かった。
その場で自らが斬られるという悲劇性も、華やかな人でありながら、抜けてる滑稽さも持ち合わせる松也にぴったり。2時間もある前半をあっという間に感じさせたのは、松也をはじめとしたコントパートが楽しくて1場面1場面楽しめるからだと思う。
で、前半で終わりかぁと思ったら、遠い親戚の役で後半の序盤にも出てきたし。すぐやられるし。また顔の黒い部分(ほくろ?)増えてるし。何で俺。
シュテン戦で、朧たちが舞っているところで、ライに殺された人たちが浮かび上がってくるところ。オオキミ、シキブ、(亀蔵さん)、サダミツとなる並びの迫力がすごい。あんだけコントしていても、倒されてきたものたちの威厳が立ち姿だけで残っていることにびっくり。

・キンタ:けんけん
新感線の中でも屈指の好きなキャラ阿部サダヲのキンタ。流石にあれはあれなのだけど、やっぱりキンタいいんだよなぁ。まっすぐで「俺は硬派だ」といちいち胡座をかくのも愛おしいし、兄貴兄貴と慕い、義兄弟の契りに嫉妬するのもいちいち微笑ましい。そんなキンタが後半、目が見えなくなることで、嘘がわかるようになるというのも良い。
初期ライは卑しい小悪党だから、余計キンタのまっすぐ通る大きな声が映える。花道を全力で低い姿勢で走るけんけんが、映像にしたら映らないところで、兵士役の人とわちゃわちゃしてたり、エネルギーが溢れているところが、みんな愛おしく見えてくる。
我が儘を言えば、検非違使の歌を歌って欲しかった。
阿部キンタに比べると、ある程度ライの嘘をわかっていそうな、ライを慕っているからとぼけているようにすら感じられる賢しさがある気がした。たぶんそれは、ライがキンタに対して嘘はついていないというのが本当だったからだとも思う。
後半、シュテンが首を狙うのをわざと目を狙うように仕向けたり、丈夫と知っていて急所を外すような、キンタへの想いが、そんな思いがライに残っていたことに驚くんだけど、この2人の関係なら理解出来る。完全に悪に染まっているような怪物にも、だからこそど真ん中に空洞がある。
変わらない小賢しい自分、変わらないまっすぐなキンタ、変わった周囲の環境。キンタとの再会を驚きもせず、むしろ受け止める時点で、そこに不在がある。キンタは目の前にいる、俺の中にはいない。キンタは目が見えていたから、ライを盲目に兄貴と慕いついていったけど、見えなくなったらもうそこにいるのがかつての兄貴じゃないことを悟ったんじゃないかな。それでも怒りに震えるでも、恨みを言うでもなく、ただ化け物になってしまった兄貴に清々しくも刃を向ける。ああ、この感情なんだ。

・シュテン:斎くん
「お前可愛い顔してるな」とアラドウジが言うのも納得なみんなおなじみ「良いお顔♡」
最初の場面は朧の精。真っ白な装束に、逆立った毛の白い鬘、獣を感じるお面、棒。仮面を被っていると誰が誰だか分からないけれど、仮面を外すと分かる。白塗りでも美しいな。
白と水色ベースの王子の戦闘服でも、囚われた牢屋の中でも漂う気品と美しさ。一応歌舞伎なのに、鬘が金髪がかり、それがなおお似合い。ズボンも袴ではなく、膝下のところでキュッと窄まり、身体の細さが出ていて、声の張り、迫力では大人っぽく振る舞いつつも、まだ幼さを感じさせるポイントだった。
声色によって、年齢を演じ分けられるんじゃないかお思うくらい、若いのにドスの効いた声を出す。
シュテンは基本的にライに向かう役なので、花道から舞台上のライに向かって喋る場面が多く、背中のみ。
舞台上でもライに人形を向けるなど、背中になってしまう場面も多かったのだけど、たとえ背中だけを見ていようが、どんな顔をしているかわかるほどの熱気。
とてもクールに見えるので、ここまで熱量を高められるのかとびっくりした。
自らの国を潰され、切り札だった血人形がキンタのものだと分かる。憎き相手の子分なら、キンタをやってしまっても良いのだけど、キンタは悪くないからそれ以上やろうとはしない。最初もライの舌先を信じてしまうし、山育ちだからか純粋な心を持っていることが染五郎シュテンのプリンスさ。
花道でボコボコにされるのを真横で見る辛さ。舞台上で話が進んでも、プリンスさまがずっと呻いているのが辛くて、みんなが舞台上を見ているのにずっと苦しみと憎しみの芝居をしている染五郎くんから目が離せない。
あまりの憎さに箍が外れて、「外道がぁ!!!」と花道で床に這いつくばりながら叫ぶその声、声量、トーンに心がやられてしまった。ベストシーンの一つ。
某蘭さんを感じた。染五郎蘭見たい。
シュテンもキレてるけど、ライが1番ブチ切れた相手はシュテンだったと感じた。いやぁこれ19歳。壊れていく顔つきが19歳のそれじゃない。あぁ、素晴らしい。
次が牢屋の中。手を縛られているの中でアラドウジと揉み合い。真ん中に2つ穴の空いた1枚の板で手を縛られてるし、片方の肩が破けているボロボロの服、髪型、メイク。ツナが入ってきてアラドウジと話し始めると、下手側の岩盤に体を預ける。多分シュテンはもう相当ボロボロで立っているのもしんどいのだと。
そこにライとマダレがやってきてツナと揉めてる間も端っこで見守っているのに、斬り合いになったら1番に飛び出す。
自らの体で血人形の契りを始めると、ああこの子はもう終わりなのだなと心が痛すぎる。いや後半ずっと痛いんだけども。マダレにやらせれば良いと言われた後で、俺の手でと気迫を漲らせるときにはようやく舞台のセンターにこちらを向いて立っている。ああ、ここが見せ場だ。とにかく殺陣が素晴らしい。新感線の殺陣を分かっている、いかに格好良く見せるか。あまりに染五郎くんの殺陣の舞が早すぎて、打ち合わなきゃいけないのに若干幸四郎さんが遅れて見える。父親相手なら手を抜かなくていい。その間もずっとシュテンがセンターでよく見えるように演出されていて、最高の見せ場だった。悪に落ちたのとは違う。ライを信じるという自分のミスで国も仲間を失ってしまったプリンスの、怒りに満ちた睨みと叫びと苦しみ、しかもそれが人形により自分にも向いている。この時のシュテンの気持ちを考えたら狂ってしまうよ。
染五郎くん、多分父よりも前回のDVDを観てるとコメントしていて、なおのこと愛おしくなった。
もう!早く新感線に来てください!!!!既にやって欲しい役が山ほどあります!

・ツナ:時蔵さん
ツナさま推しました。こんなのみんな好きになっちゃうでしょう。男性が女方して、男装するってどんな世界?なのに、すんなり受け入れてしまうかっこよさ。アレで検非違使の長なんだぜ。ツナさまに仕えたい。
一途なヤスマサ想いというのも良くて、アレだけ綺麗な人が、誰かを思っているって素敵。「そこは飛ばして」って照れくさそうに怒るところも可愛い。
あまりにカッコ良すぎるツナさまだから、恋多きおてんば娘シキブと違って、ライに惹かれて欲しくなかったほど。このツナではそれは解釈違い。
一場面、着物の場面があってその時羽織を脱ぐ手つきの美しさ。時蔵さん、存じなかったのだけど、舞踊系の方なのかな。女方だけど、あんなにアクションがあるのに、蛇の紋章を露わにする時の腕の華奢さに驚いてしまった。腕まで白塗りにしているからというのもあるけど、女の人の腕みたいだった。
「思いを言葉にしたら、あいつと同じ土俵になる」と優しく嗜める兄マダレ。
愛する夫を殺され、境遇も、心も奪われた相手への独白。夢に見る全てを奪った男への恨みを花道に語ったときに見上げた目の強さ。
強い信念でライの嘘を見抜き、怒りを煮えたぎらせながらも、比較的冷静に振る舞うツナさまだから、人には見せない覚悟がぐっとくる。
ライを追い詰める時の甲冑姿がお似合い。赤い血が通っていたライに一撃を与えるのはマダレでも、キンタでもなくツナで良い。そして終わった後はこの国を治めてほしい。

・オオキミ:彌十郎さん
「うん」というだけで、笑いが取れて、愛おしく感じさせてしまう彌十郎さんどうなっているんだ。言い方、表情?手のひらサイズにしても可愛いと思う(?)
彌十郎さん本人の愛らしさが、あまり多くは語られないオオキミの人間性なのかな。
「3人しかいないけど」、少ない台詞で笑わせてもらえるだけでも良いけど、シキブが毒を盛る一連のシーンはあまりに切なくて、「最近歌詠んでくれないね」から、シキブの葛藤も感じつつ、もしかしたらシキブのために抜けてるっぽく見せてたのかなとすら思わせる「これ飲むから」胸はち切れるて。「あの男はやめておけ」の中にある強い意志もなお良くて。
ああ、大好きなキャラクターだ。
近いのに双眼鏡で覗いた、この場面の衣装。あとの血糊がわかるように、白ベースで、金銀のキラキラした装飾が施されていまてすごく綺麗。シキブは下が薄緑の花柄でこれも美しい。着ていた上掛けをゆったりと侍女が脱がせるところとかに時間を使うのも、歌舞伎ならではの優雅さで惚れ惚れした。

・シキブ:新悟
拍子木がPAじゃなくて本物の人、上手上には三味線さんと歌う人。シキブだけじゃなかったと思うけど、キャラが歌い始めた時に、途中から歌う人がやるのはなぜなんだろう?声を出すことより、動きに集中したいのか、歌う人を使いたいのかはたまた?
私はずっとシキブボイスが良かった。
話が逸れるけど、新感線のエレキロックに、和の拍子や三味線が加わるの歌舞伎NEXTって感じがしていいね。
たぶん高田聖子さんの劇団員パートなので、お笑い部分難しかったと想像するのだけど、もともと新悟さんのお役?というくらいばっちり。激情に駆られる人となりが可笑しくも、冷めない。その裏側をのぞかせる「わたしあの人だいっきらい」の言い方も抜群。

・ヤスマサ将軍:川原さん
新感線のアクション監督。アクションをやっていたら出演することになりました!と聞いていたけど、四天王の1人じゃない。歌舞伎役者しかいないなかで、違う土壌の人なのに、めっちゃ歌舞伎っぽいキメをしてるからニヤニヤしちゃったよ。
歌舞伎のアクションは割とスローモーションでやったりするので、どうかなと思ったら、新感線節のチャンバラで大歓喜。集団戦なんて、嬉しくて目が足りないくらい。途中で止まって決めポーズがあったりもあったけど、みなさん重たそうな衣装でよく暴れ回ってくださいました。
それからさ、川原さんのアラドウジ、もっと良い役だったよね?笑好きだったはずなのに、今回のだけ観ると飄々とした裏切りやろうでした。(しかも染五郎くんに手を出すなんてありえん)

・マダレ:猿弥さん
ツッコミが上手い。テンポをずらすことでどっしりと構えたままツッコミが出来る。若手キャストが多かった中で、出番も多く、全体を締めていたように感じる。
幸四郎さんが多少噛もうが間違えようが、何事もなかったようにさらりと交わしてみせる。私が見た回も色々あったらしいけど、多くは気づかなかったレベルだから、全員でうまくカバーしていたんだろうな。
ところで、劇場内でツボってしまって困った「フトシさん」「マダレな」この冷静なツッコミが可笑しすぎたのだけど、どうやらこれ、毎日のアドリブらしい。
古田さんの役だったこともあり役割も大きい。ライが悪に落ちていく一方で、だんだん観客からは正義側に変わる。それをもともとの義の気質と大きな心で、過去をなかったことにはせず、同じキャラクターとしても成立させていた。かっこよかったなあ。

・ウラベ:亀蔵さん
バンコウ、クロトワといいじゅんさんがやりそうな面白い役が多かっただけに今回はちょっと物足りなかったかなぁ。まぁ、新感線の劇団員しかり、いつもいつも良い役ではないよね。だとしても、サダミツとは違うウラベなりの立ち回り方も見応えがある。
これはFilmarksレビュー用に2026年2月現在追記しているが、パンフレットに次も出たいから、稽古して待ってるとコメントしてくださっていて、もうその機会がないことが悲しくなって涙が出た。本当はゾンビです、なんてお茶目にコメントする方だから、ゾンビになって出てきてくれればいいのに。

☆作品について感想まとめ
『朧の森に棲む鬼』17年前の作品と筋は同じで、変わらず面白いのだけど、新感線にある品の無いところを上手くカバーしているところ、かなり観やすくなっていたと思う。
『リチャード3世』『マクベス』といったシェイクスピア作品をテーマとしながら、それを日本史の酒呑童子の物語と組み合わせ、ひとつの物語にする。

朧の森の精霊は、人々が信じるものがオオキミとなり、その座を奪われた神だと言う。誰も神を信じず、救いも赦しもない世界で、野望を秘めた嘘つきが、王を目指す。ライの物語とはなんなのか。なぜ朧たちはライに力を与えたのか。
人々が奪った信仰の座をオオキミから取り戻したかったのか?オオキミを倒して、王になるライを取り込めば、自らが王に戻るという算段か?
新感線ではライが白骨化するので、朧の森に取り込まれ、その望みは達成されたようにも見えるけど、歌舞伎では鬼となったライが宙乗りをするので、ライの力に森の方が飲み込まれたように見える。
文字通り、朧の森に棲む鬼、となったライは閉幕後都に何をもたらすのだろう?

田舎の村で生まれたライは全てに絶望する生まれだったんじゃないだろうか。その上、頭だけはよく回る。何度考えても成功出来ない自分の人生。それを理解してしまう頭が憎い。キンタのように何も考えずにいられたなら。
ライが本当に王になることを望んでいたのかは分からない、朧にそう言わせられたようにも感じるから。救いない人生、卑しい自分、王になれるもんならやってみろよ。
自分の人生を試したい。どこまでやれるのかやってみたい。力を得た瞬間から、たった一度の人生をある種どこかで捨てて、鬼になったんじゃないか。

気を抜けば足を救われ、良い人が報われるわけでもない戦の世。悪知恵を働かせ、その場を乗り切り続けたら、自分は悪者だ、悪だ、悪だ、悪だ。言い聞かせる、王になるには完璧に悪をしないと。
だから、その前の自分、まだ鬼でなかった自分を知っているキンタには弱いのだろうね。全てを捨てて鬼になっても、簡単にはキンタを捨てられない。

「自分で自分を殺す」その意味は、血人形の契りで朧たちに見透かされるが、結局はキンタを殺さなかったことに辿り着く。キンタはライが人間に戻る防波堤だったのかも。鬼になるほど捨てきれなかった。もしくは逆に、今回の終わりでは、王ではなく、鬼になってしまったのかも。嘘で埋め尽くされた人生は、真のことなど何もない。落武者狩りだった男が落武者に襲われて死ぬ。
王になったことなど、朧の森の精霊たちに見せられた夢だったのかも。

嘘に対する人たちが、正義ではなく、復讐を名乗るのも妥当だ。嘘によって人生を奪われた者たちが、復讐を果たす。正義は結局言葉なんだ、正義も人を丸め込める。言葉に飲み込まれる。個人的な復讐。誰のためでもない自分の思いを果たすための復讐。

今の世界はどうか?隙さえあれば、騙される世界に近い。嘘は怖い。人を騙せるし、そのうち自分も飲み込まれていく。
ライという名の鬼が現世にも、すぐそこにもいるのかもしれない。

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