【第20回大阪アジアン映画祭　特別注視部門出品】
台湾のジュリアン・チョウ監督の長編第二作。ロッテルダム映画祭コンペに出品、大阪アジアン映画祭にも出品されている。

これは素晴らしい。現状今年ベスト。少々長めの尺ではあるが、それに見合った見応えのある美しいストーリーテリングが素晴らしい。

同性愛を主軸に置きながら少年の目覚めも扱っている。同性愛描写の何と美しく悲痛なこと…！ビターな後味を残す終わり方もすごくよかった。

写真家の女性を演じた役者さんのどこかいつも哀しげな目をした表情の演技を思い出すだけで泣けてくる。彼女のセクシャリティゆえにいつも孤独を抱え、社会から疎外感を感じていたのだろう。セリフにはない余白を残した演技が素晴らしかった。

少年は少年で家族や学校に不満を抱えていて、写真家の女性と親密になる。芸術性と性の目覚めを同時に描くセンスに脱帽。両者はとても近い関係にあると思っているのでその描き方がとてもよかった。

家庭をとるか、真実の愛をとるのか、それ自体はありふれた物語ではあるものの、センスのいい演出の数々に魅了された。

台湾は同性婚が認められている国、終わり方は少し曖昧であるがポジティブな結末だと受け取りたい。自分の生き方に苦悩しながらも本当の自分と向き合っていく物語として非常によく出来た作品。

• #第20回大阪アジアン映画祭

全くおもしろさがわからず
頑張ったが睡魔に負けた。

• #knt_movie

珍しい三角関係──第20回大阪アジアン映画祭特別注視部門。台湾映画でこのカメラの遠さとこの尺の長さ、既視感の元は『石門』だな。暗いロングショットが多くて凝視を強いられ目が疲れた。とはいえ面白い演出も多かった。車の身動きが取れなくなるシーンが2度登場する。一度目は序盤、車がLGBTパレードの参加者に取り囲まれ、父親が息子に「世の中にはまともな人とまともになりたい人」がいるという論を説明し、レズビアンを隠して生きている母親が何も言わずに顔を暗くする一幕。二度目は終盤、母親が病院を出ようとするとするも駐車された車に取り囲まれて動かすことができずクラクションを鳴らす一幕。乗っている車とその周囲の二重の閉塞は、父親の言う所謂「まとも」にもその周縁にいるカミングアウトしたLGBTにも属さない彼女の抱えるダブルバインドを表現している。

ここで強めの思想を披露しておくと、不当な拘束を強いる結婚というものが非倫理的な制度であるにもかかわらず公然と許されているわけだから、不倫も公然と許されなくちゃならないと私は本気で思ってる。公然と許されたら不倫じゃなくて倫になるね。