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ジュマンジのtakのレビュー・感想・評価

ジュマンジ(1995年製作の映画)
3.2
昔から映画の特撮が好きだったから、80年代はコンピュータグラフィックが映画に使われる始めたのをキャアキャア喜んで観ていた。中学生の頃、ディズニーが製作した画期的なCG映画「トロン」には興奮したっけ。その後の技術の発達は驚くばかりで、「ジュラシックパーク」では思わず拍手してしまった。90年代半ばを過ぎると、主役俳優の代わりにCGがアクションをこなす映画が世に出てくる。え?役者いらんやん。

「ジュマンジ」はそんな90年代の半ばに登場した映画。ジュマンジは、すごろくのコマに書かれた出来事が現実に起こってしまうという不思議なボードゲーム。屋敷に残されていたそのゲームをプレイし始めた主人公とそのガールフレンド。次々に起こる奇怪な現象。そしてこのゲームに取り込まれてしまった元少年が彼らの前に現れる。

この映画の見どころの一つは、当時まだ難しいとされた動物のCG。2010年代製作の実写と見違えるような「ライオンキング」とは比べようもない技術の差があるだろうが、CGが映画で一般的に使われるようになった時期らしい味わいがある。部屋に突如現れたライオンは毛並みを丁寧に表現している。ジャングルの動物たちが暴走するど迫力。象が自動車を踏みつぶす場面は、うまく合成した映像になってるな、と当時は感心した。

ただ、動物たちの表情を表現するのは、さすがに作りもの感が隠せない。この映画が製作された1995年はピクサーが「トイ・ストーリー」を発表。人間の表情にはまだまだぎこちない感じがあった頃だ。とはいえ、「ジュマンジ」の現実味のないファンタジーには、むしろこの作りもの感が妙にマッチしていたように思える。いろいろ起こってるけど現実ではないんだ、エンドマークが出たら僕らは現実に戻れる。だけど2020年代の今、映画のCGで描かれる世界は、この当時とは比べ物にならない表現力と緻密さがある。現実に戻りたくなくなるような世界すら提示される。

スクリーンでロビン・ウィリアムズの笑顔を見るとやっぱり安心してしまう。この「ジュマンジ」をテクニカルな面ばかりで注目される映画にせず、血の通った温かみを感じるファンタジーとして記憶されたのは、ロビン・ウィリアムズがいたからだと今では思える。
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