ナガノヤスユ記

出発のナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

出発(1967年製作の映画)
4.3
何度見ても、ジャン=ピエール・レオーのスマートな躍動感には惚れ惚れする。
それこそ画面内所狭しと動き回り、周囲を振り落としかねないフルスロットルの思考を巡らしているが、しかし何者でもない。
レーサーでもなければ美容師でもなく、善人にも悪人にもなりきれない。女を連れ回そうとも、モノにする気もなければ、女のモノになる気概もない。
あらゆることに拒否を示し、あれでもないこれでもないと飛び移り続ける、寄る辺なき若者の姿。

それだけの内容と言えばそれまでだけど、なんら成熟の片鱗も見せないまま、ラストで告げられる突然の「出発」には頓悟されられずにはいられない。