Mikiyoshi1986

出発のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

出発(1967年製作の映画)
4.2
5月5日はヌーヴェルヴァーグの申し子ジャン=ピエール・レオ君のお誕生日!
こどもの日に相応しいあの永遠の少年も、今日で73歳に。

トリュフォーの分身として見出だされ、歴史的名作「大人は判ってくれない」で華々しいデビューを飾ったレオ君。

そんなヌーヴェルヴァーグ全盛期を象徴する十代のレオ君と、そのヌーヴェルヴァーグに感化されたポーランド出身のイエジー・スコリモフスキ監督がタッグを組んだ作品がこちら。

ポーランドの監督がフランスから今をときめく俳優を迎え、政治的な理由からベルギー・ブリュッセルで撮影を敢行したというヌーヴェルヴァーグの番外編に位置する本作。
屋外ロケや即興演出、逆再生を多用し、スコリモフスキのヌーヴェルヴァーグへの並々ならぬ傾倒を窺わせます。
しかも撮影監督はレオ君が前年にゴダール作品で初主演を果たした「男性・女性」のウィリー・クーラン。

バイクの2ケツやトランク内の逢瀬、夜の展示会で真っ二つのオースティンに乗る二人、巨大な鏡を運ぶ二人など、青春しちゃってるカップル具合はとっても微笑ましい。

町中のポルシェを勝手に拝借しては乗り回し、ラリー出場の為に奔走する見習い美容師の貧乏青年をレオ君が熱演。
少年と大人の間で揺れる時期に夢を追い掛ける情熱、ヒロインとの出会いで大人の階段を踏み出す「出発」を情感たっぷりに描きます。

この童貞臭満載の肖像が、のちのアントワーヌ・ドワネルのキャラクター形成へも逆に影響を与えた功績は大きいと云えるでしょう。

印象的なテーマ曲はミシェル・ルグランの姉クリスチアーヌ・ルグランが唄い、
シーンを彩るジャズはポーランドのコンポーザー、クシシュトフ・コメダが務めます。
Mikiyoshi1986

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