スリになってしまう青年ミシェルの心理的内面を描いた作品。
貧しいことから、何やらあまり罪悪感はなくスリをはじめます。
手先が器用で家で真面目に練習もします。
そのうちプロからスカウトされ、集団での大掛かりな犯行に及ぶまで、どんどんのめり込んでいくことに。
警察にも目をつけられているのに、荒んだ心は改心せず。
そんなとき、母の住むアパートの隣人ジャンヌに出会います。
見るからに彼女も不幸で貧しい女性。
演じたマリカ・グリーンは、エヴァ・グリーンの伯母だそうで、大変な美人。
ジャンヌとはあまり具体的な会話もなければ、いいムードになることもないけれど、二人は惹かれ合いつつもお互いの気持ちは伝えません。
なんというか、実に抑制的でもどかしさでいっぱいになります。
そんな二人がどうなってしまうのか。
あらゆる削ぎ落としがすごいブレッソン作品ですが、ほんとに時間も短く音楽も台詞も少ないです。
ラストの台詞は、まるで詩のようでした。
スリの描写がやたらと細かく、流れるような手のさばきがクローズアップされます。
それでもこれは、恋愛映画でもあったんだと思います。