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マネーボールのKtoのレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
4.5
【感想】
★野球に対して複雑な感情を抱き、種々の葛藤を抱える主人公の奮闘が一つのドラマとして非常に美しい形で結実している傑作映画

●補聴器をつけた様な”おやじ”達が根拠のない持論や経験則ばかり喋り、全く不毛な議論を繰り広げる生産性の無さに苛つくビリーの気持ちすごく理解できる…。
イエール大経済学部卒のエリートに目をつけて協働し、野球統計の祖 ビルジェイムズの如く統計データに基づいた分析を武器に、オークランド・アスレチックスを強していく話。

●大型選手が他球団に行った穴埋めに、落ち目の選手達を安く買い取って、誰も予想しなかった活躍をさせるところとかは、少林サッカーを思い出した。仲間集めの面白さは、七人の侍(黒澤明監督)から変わらない、絶対に面白くなるシナリオパターンの強さだと思った。

●構成自体は、中盤でどん底に落ちて→後半で盛り返すという安定感のあるドラマらしいシナリオだったけど、苛ついた時のドリフトシーンとか、娘の歌を流しながら車を走らせるシーンとかは結構アグレッシブな表現主義で凄くかっこよかった。

●「最初に何かをする者は叩かれる、既成の権力は自分たちの仕事が奪われることを嫌うんだ」というメッセージが沁みた。経験則を重んじるベテラン既得権益勢 vs 偏見のない発想と科学的根拠を重んじる若手勢 の構図は、どんな仕事でも必ず存在する普遍的な葛藤。信念があるならば、失敗しても責任を取るという覚悟で偉業を成し遂げる人生を追うのも良い。

▲娘の存在は、特にハッテバーグとのシンパシーを出す点では非常に美しく機能していると思ったんだけど、あまりに歌が上手過ぎてかえって歌には心が揺さぶられなかった…。

Wiki:『マネーボール』(Moneyball)は、2011年のアメリカ合衆国の映画。マイケル・ルイスによる『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』を原作とし、オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー(GM)、ビリー・ビーンがセイバーメトリクスを用い経営危機に瀕した球団を再建する姿を描く。ベネット・ミラーが監督し、ブラッド・ピットがビーンを演じた。第24回東京国際映画祭にて公式クロージング作品としてアジアプレミア上映[3]。
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